膵癌治療への分子標的薬の応用

膵癌の治療がいかに困難かはこれまでの幾多の臨床試験と治療成績が物語っている.根治切除の限界や化学療法,放射線治療の効果が乏しい現状では,膵癌の治療はチャレンジングな領域の一つであり,分子標的治療に期待が寄せられている.本稿では,膵癌の分子特性とゲムシタビンとの併用による分子標的治療の第III相臨床試験の現状を概説する.現在,これらの分子標的治療は小細胞肺癌や大腸癌などいくつかの癌種では良好な治療効果を示しているが,膵癌に対する効果は期待とは程遠い状態である.このため,新しい分子標的の探索が重要視されている.我々は最近,glycogen synthase kinase(GSK)3βが膵癌を含む消...

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Veröffentlicht in:膵臓 2010, Vol.25(1), pp.35-45
Hauptverfasser: 島崎, 猛夫, 石垣, 靖人, 源, 利成, 元雄, 良治
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:膵癌の治療がいかに困難かはこれまでの幾多の臨床試験と治療成績が物語っている.根治切除の限界や化学療法,放射線治療の効果が乏しい現状では,膵癌の治療はチャレンジングな領域の一つであり,分子標的治療に期待が寄せられている.本稿では,膵癌の分子特性とゲムシタビンとの併用による分子標的治療の第III相臨床試験の現状を概説する.現在,これらの分子標的治療は小細胞肺癌や大腸癌などいくつかの癌種では良好な治療効果を示しているが,膵癌に対する効果は期待とは程遠い状態である.このため,新しい分子標的の探索が重要視されている.我々は最近,glycogen synthase kinase(GSK)3βが膵癌を含む消化器癌の治療標的であることを同定したので,その概略を紹介する.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.25.35