アルコール依存症日本人男性における膵臓内石灰化とその背景因子

背景と目的 近年, 膵臓に炎症や線維化を起こす慢性膵炎は増加し, 内分泌や外分泌に不可逆的な機能低下を起こしている. 患者の約半数はアルコールが原因であり, 特に男性における慢性膵炎患者の場合は68. 5%がアルコールに起因するものと報告されているが1), アルコール性慢性膵炎の発生, 進展機序はまだ明らかにされていない. アルコール摂取が必ずしも慢性膵炎を引き起こすわけではなく, 例えばアルコール依存症患者は大量のアルコールを摂取しているにもかかわらず慢性膵炎と診断される割合はごく一部である. われわれは近年内視鏡的膵管造影(ERCP)を用いてアルコール依存症患者における飲酒量の増加が慢性膵...

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Veröffentlicht in:膵臓 2006, Vol.21(4), pp.374-377
Hauptverfasser: 中村, 雄二, 大森, 智弘, 樋口, 進, 丸山, 勝也
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景と目的 近年, 膵臓に炎症や線維化を起こす慢性膵炎は増加し, 内分泌や外分泌に不可逆的な機能低下を起こしている. 患者の約半数はアルコールが原因であり, 特に男性における慢性膵炎患者の場合は68. 5%がアルコールに起因するものと報告されているが1), アルコール性慢性膵炎の発生, 進展機序はまだ明らかにされていない. アルコール摂取が必ずしも慢性膵炎を引き起こすわけではなく, 例えばアルコール依存症患者は大量のアルコールを摂取しているにもかかわらず慢性膵炎と診断される割合はごく一部である. われわれは近年内視鏡的膵管造影(ERCP)を用いてアルコール依存症患者における飲酒量の増加が慢性膵炎の重要な危険因子になっていることを報告したが2), DurbecとSarlesが検討した慢性膵炎の研究ではアルコールによる膵臓障害にアルコール量の閾値はないことを示している3). 慢性膵炎の診断は本来膵臓の組織学的検討によって行われるものであるが, 膵臓生検は侵襲が大きいため, 日本膵臓学会はX線CTにて膵内石灰化を認めた場合慢性膵炎確信例とする診断基準を示している4).
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.21.374