膵癌を否定できなかったIgG4高値の腫瘤形成性膵炎の1切除例
症例は60歳, 男性. 健診で指摘された膵管拡張の精査目的に来院した. ERCPでは膵頭部の主膵管に約2cmの狭窄があり, その末梢側には数珠状拡張を認めた. 狭窄部位の一次分枝は描出されなかった. 腹部超音波検査や超音波内視鏡検査では, 同部位に腫瘤性病変を同定できなかった. レボビスト® (ガラクトース・パルミチン酸混合物) を用いた造影超音波検査では, 膵頭部に境界不明瞭な造影効果の乏しい部位を, 注入直後から2分間にわたって認めた. 腹部血管造影検査では, 下膵十二指腸動脈のDigital subtraction angiography (DSA) にて膵頭部の膵実質造影の一部に欠損が...
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Veröffentlicht in: | 膵臓 2005, Vol.20(4), pp.366-373 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は60歳, 男性. 健診で指摘された膵管拡張の精査目的に来院した. ERCPでは膵頭部の主膵管に約2cmの狭窄があり, その末梢側には数珠状拡張を認めた. 狭窄部位の一次分枝は描出されなかった. 腹部超音波検査や超音波内視鏡検査では, 同部位に腫瘤性病変を同定できなかった. レボビスト® (ガラクトース・パルミチン酸混合物) を用いた造影超音波検査では, 膵頭部に境界不明瞭な造影効果の乏しい部位を, 注入直後から2分間にわたって認めた. 腹部血管造影検査では, 下膵十二指腸動脈のDigital subtraction angiography (DSA) にて膵頭部の膵実質造影の一部に欠損が認められた. CT-Angio (CTA) でも同様であった. これらはERCP, MRCPで描出された膵頭部の主膵管狭窄部位に一致していた. 以上の所見より, 膵癌と考えて幽門輪温存膵頭十二指腸切除術 (PpPD ; pylorus preserving pancreaticoduodenectomy) を施行したところ, 悪性所見はなく腫瘤形成性膵炎と診断された. 病理組織学的には高度の線維化と炎症細胞の浸潤を認めた. 自己免疫性膵炎 (AIP ; autoimmune pancreatitis) に類似した病理組織学的所見 (主膵管周囲に炎症と線維化を来した点) とIgG4高値 (402mg/dl, cut off値 : 135mg/dl ) を示した本症例は, 将来的なAIPの診断基準の再検討および膵癌と腫瘤形成性膵炎の鑑別において, 示唆に富むものであった. |
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ISSN: | 0913-0071 1881-2805 |
DOI: | 10.2958/suizo.20.366 |