当科における膵粘液性嚢胞腫瘍症例の病理学的再検討
膵粘液性嚢胞腫瘍 (MCT) は比較的稀な疾患であり, 一般には膵管との交通を持たず, 嚢胞内腔は粘液産生性の上皮により構成され, 卵巣様間質 (OS) の存在が特徴とされている. ほとんどの症例が女性であり, 膵体尾部に好発することが知られている. 粘液産生性上皮から成る嚢胞病変という観点から, 特に膵管内乳頭粘液性腫瘍 (IPMT) との鑑別が問題となる. 当科にてMCTと診断し, 切除術を施行した11例を対象に, 病理組織学的に診断の再検討を行った. 膵粘液性嚢胞腺腫 (MCA) 6例中5例にOSが確認され, 全例に診断の変更はなかった. 膵粘液性嚢胞腺癌 (MCC) 4例中, OSが確...
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Veröffentlicht in: | 膵臓 2005, Vol.20(1), pp.10-16 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 膵粘液性嚢胞腫瘍 (MCT) は比較的稀な疾患であり, 一般には膵管との交通を持たず, 嚢胞内腔は粘液産生性の上皮により構成され, 卵巣様間質 (OS) の存在が特徴とされている. ほとんどの症例が女性であり, 膵体尾部に好発することが知られている. 粘液産生性上皮から成る嚢胞病変という観点から, 特に膵管内乳頭粘液性腫瘍 (IPMT) との鑑別が問題となる. 当科にてMCTと診断し, 切除術を施行した11例を対象に, 病理組織学的に診断の再検討を行った. 膵粘液性嚢胞腺腫 (MCA) 6例中5例にOSが確認され, 全例に診断の変更はなかった. 膵粘液性嚢胞腺癌 (MCC) 4例中, OSが確認されたのは1例のみで, 最終診断はMCC2例, 分枝型IPMT1例, 転移性膵腫瘍1例であった. 浸潤性粘液性嚢胞腺癌症例は, 膵管内腫瘍由来の浸潤癌と最終診断した. MCTとIPMTは, 腫瘍の進展形式の差に基づく治療方針上の問題も含んでおり, MCTに典型的な臨床・病理組織学的特徴に合致しない症例については, 慎重な鑑別診断を要すると思われた. |
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ISSN: | 0913-0071 1881-2805 |
DOI: | 10.2958/suizo.20.10 |