骨格性下顎前突症を伴う広汎型慢性歯周炎患者の包括治療

歯周病と歯列不正は強い関連が認められており,双方の病態に大きな影響を与えている。長期間口腔内を健全な状態に保ち,種々の病態の再発を予防するためにも,歯周病に対する炎症のコントロールのみではなく,歯列不正の改善による適切な咬合の付与と安定化,力のコントロールが必須である。さらに,進行した歯周炎患者では,既存の歯列不正以外にも病的な歯の移動(Pathologic tooth migration:PTM)により咬合が不正となったり,二次性咬合性外傷が生じて歯周炎が進行する可能性もある。今回,骨格性下顎前突症を伴う広汎型慢性歯周炎と診断した57歳の女性に対して,歯周基本治療後に下顎枝矢状分割術を伴う矯...

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Veröffentlicht in:日本歯周病学会会誌 2020/09/30, Vol.62(3), pp.168-181
Hauptverfasser: 石田, 直之, 山口, 正人, 高田, 匡基, 各務, 秀明, 山田, 一尋, 石岡, 康明, 上原, 龍一, 尾崎, 友輝, 石原, 裕一, 増田, 宜子, 吉成, 伸夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:歯周病と歯列不正は強い関連が認められており,双方の病態に大きな影響を与えている。長期間口腔内を健全な状態に保ち,種々の病態の再発を予防するためにも,歯周病に対する炎症のコントロールのみではなく,歯列不正の改善による適切な咬合の付与と安定化,力のコントロールが必須である。さらに,進行した歯周炎患者では,既存の歯列不正以外にも病的な歯の移動(Pathologic tooth migration:PTM)により咬合が不正となったり,二次性咬合性外傷が生じて歯周炎が進行する可能性もある。今回,骨格性下顎前突症を伴う広汎型慢性歯周炎と診断した57歳の女性に対して,歯周基本治療後に下顎枝矢状分割術を伴う矯正治療を施行し,咬合状態を改善した後,保定治療中に歯周外科治療,補綴治療を行うことにより,歯周組織の改善と歯列,咬合の安定性が得られた症例を報告する。現在初診より13年が経過,歯周病安定期治療(Supportive periodontal therapy:SPT)へ移行してから6年経過しているが,良好に歯周組織と咬合の安定が維持されている。骨格性下顎前突症を伴う慢性⻭周炎患者において,徹底的な炎症のコントロール下における下顎枝⽮状分割術を伴う矯正治療や補綴治療を含む包括治療を行う事で,歯周組織の長期安定を維持することができた症例を報告する。
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.62.168