顔貌形態による咬合力の推測

過度な咬合力は咬合性外傷を生じさせ歯周炎患者において歯周組織破壊を助長するため,咬合力の測定は歯周組織破壊に対するリスクを評価する上で重要である。しかし,測定に高価な専用機器が必要なため,日常臨床であまり行われていないのが現状である。本研究では,年齢・残存歯数等が比較的近似している若年者を対象に顔貌形態から咬合力を推測できるかを検討した。九州歯科大学に在籍する学生100名(男性60名,女性40名)を被験者とした。被験者に感圧シートを咬合させ,専用解析装置にて咬合力を算出した。また,顔面の正貌および側貌をデジタルカメラで撮影し,得られたイメージ上でソフトウェア(Image J,NIH,米国)を用...

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Veröffentlicht in:日本歯周病学会会誌 2016/03/28, Vol.58(1), pp.33-40
Hauptverfasser: 中村, 太志, 守下, 昌輝, 村岡, 宏祐, 花谷, 智哉, 臼井, 通彦, 中島, 啓介
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:過度な咬合力は咬合性外傷を生じさせ歯周炎患者において歯周組織破壊を助長するため,咬合力の測定は歯周組織破壊に対するリスクを評価する上で重要である。しかし,測定に高価な専用機器が必要なため,日常臨床であまり行われていないのが現状である。本研究では,年齢・残存歯数等が比較的近似している若年者を対象に顔貌形態から咬合力を推測できるかを検討した。九州歯科大学に在籍する学生100名(男性60名,女性40名)を被験者とした。被験者に感圧シートを咬合させ,専用解析装置にて咬合力を算出した。また,顔面の正貌および側貌をデジタルカメラで撮影し,得られたイメージ上でソフトウェア(Image J,NIH,米国)を用いて形態計測を行った。正面像では全頭高,頬骨弓幅,下顎角幅および顔面積,側面像では下顎角を測定した。男性の咬合力は女性と比較し有意に高かった。また,男性の全頭高および顔面積は女性と比較し有意に高かったが,頬骨弓幅,下顎角幅および下顎角では有意差は認められなかった。さらに,2つの項目(全頭高/頬骨弓幅,下顎角幅/頬骨弓幅)を算出して重回帰分析を行った結果,咬合力は一つの項目(下顎角幅/頬骨弓幅)と性別に大きな影響を受けていることが明らかになった(決定係数=0.25)。本研究の結果から,若年者において方形,尖形といった顔貌と性別によって咬合力をある程度推測できることが示唆された。
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.58.33