接合上皮の解析

「はじめに」 歯という硬組織は, 口腔粘膜を貫いて口腔内に存在している. 上皮を貫く構造があるのは歯周組織だけで特殊な構造である. 古くからこのように説明をされてきた. 健康な状態で歯肉溝の深さは約0.4mm程度(臨床的には2mm以下)とされ, 歯肉溝底部では非角化の上皮層がエナメル質にハーフデスモゾーム構造により付着している. 口腔上皮が錯角化により物理的な生体防御の役割を担っていることは想像に難くない. 接合上皮の特徴として非角化であること, 同時に物質の透過性が高く, 血清成分が歯肉溝(あるいは歯周ポケット)に向かって通過していくことが知られている. 歯肉溝滲出液には補体や抗体, 複数種...

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Veröffentlicht in:日本歯周病学会会誌 2015/03/28, Vol.57(1), pp.11-17
Hauptverfasser: 山本, 松男, 氷室, 沙羅, 西井, 浩介, 塚本, 康己, 林, 庸以, 相澤, 怜, 関, 辰明, 田中, 準一, 美島, 健二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」 歯という硬組織は, 口腔粘膜を貫いて口腔内に存在している. 上皮を貫く構造があるのは歯周組織だけで特殊な構造である. 古くからこのように説明をされてきた. 健康な状態で歯肉溝の深さは約0.4mm程度(臨床的には2mm以下)とされ, 歯肉溝底部では非角化の上皮層がエナメル質にハーフデスモゾーム構造により付着している. 口腔上皮が錯角化により物理的な生体防御の役割を担っていることは想像に難くない. 接合上皮の特徴として非角化であること, 同時に物質の透過性が高く, 血清成分が歯肉溝(あるいは歯周ポケット)に向かって通過していくことが知られている. 歯肉溝滲出液には補体や抗体, 複数種類のサイトカイン, 抗菌ペプチドなどが含まれ, また, 好中球やマクロファージも通過して歯肉溝に移動していくことが古くから知られている. つまり, 歯肉溝に存在する口腔微生物の侵入を防ぐことが, 接合上皮の生体機能の一つとして理解されている.
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.57.11