ビスホスホネート投与患者に対する歯周治療の1例から治療計画を再考する

「緒言」日本における骨粗鬆症の患者数は, 1,280万人と推計される. 骨粗鬆症は骨折の大きなリスク因子であり, 骨粗鬆症により引き起こされる骨折は, ADLやQOLのみならず, 生命予後にまで影響することが明らかにされている1). ビスホスホネート(BP)は, 破骨細胞に作用し, 骨吸収を阻害することから, 骨粗鬆症による骨折の予防のほか, 癌の骨転移, 悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症の治療などにも使用され, その有用性が示されている2). そして, 骨粗鬆症治療においては, BP製剤は第1選択薬とされている1). 一方, 2003年にMarx3)がBP製剤により顎骨壊死が誘発されたことを報...

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Veröffentlicht in:日本歯周病学会会誌 2012-12, Vol.54 (4), p.346-351
Hauptverfasser: 仲谷寛, 奥美和子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」日本における骨粗鬆症の患者数は, 1,280万人と推計される. 骨粗鬆症は骨折の大きなリスク因子であり, 骨粗鬆症により引き起こされる骨折は, ADLやQOLのみならず, 生命予後にまで影響することが明らかにされている1). ビスホスホネート(BP)は, 破骨細胞に作用し, 骨吸収を阻害することから, 骨粗鬆症による骨折の予防のほか, 癌の骨転移, 悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症の治療などにも使用され, その有用性が示されている2). そして, 骨粗鬆症治療においては, BP製剤は第1選択薬とされている1). 一方, 2003年にMarx3)がBP製剤により顎骨壊死が誘発されたことを報告し, その後, 同様の報告が続出し, 日本でも2006年にBP製剤投与患者に対する侵襲的歯科治療への注意喚起がなされた. 現在, アメリカ歯科医師会やアメリカ口腔外科学会のポジションペーパー4, 5)に加え, わが国においてもBP関連顎骨壊死(Bisphosphonate related osteonecrosis of the jaw: BRONJ)の病態およびその対応についての指針2, 6)が見られるようになった.
ISSN:0385-0110