成人性歯周炎患者に複合的治療を行った一症例
歯周炎患者においては, 歯周組織の炎症のコントロールや安定化さらには, 咬合状態の安定化を図る事が必要不可欠である. 本症例では, 咬合状態の改善を早期に図り良好な治療結果が得られたので報告をする. 2. 初診 患者:57歳女性. 初診日:平成10年8月6日. 主訴:右下前歯部の動揺. 既往歴:特記事項なし. 現病歴:平成10年7月頃より右下の歯牙の動揺に気づく. 3. 診査, 検査所見1)口腔内所見 上下顎の前歯部に歯肉の発赤腫脹が認められ, 隣接面を中心に4~7mmのプロービングデプスを示し, ほぼ全顎にBOPが認められた. 2)X線所見 全顎的に根長1/3から2/3に及ぶ水平性吸収を認め...
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Veröffentlicht in: | 日本歯周病学会会誌 2003, Vol.45 (suppl-2), p.174-174 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 歯周炎患者においては, 歯周組織の炎症のコントロールや安定化さらには, 咬合状態の安定化を図る事が必要不可欠である. 本症例では, 咬合状態の改善を早期に図り良好な治療結果が得られたので報告をする. 2. 初診 患者:57歳女性. 初診日:平成10年8月6日. 主訴:右下前歯部の動揺. 既往歴:特記事項なし. 現病歴:平成10年7月頃より右下の歯牙の動揺に気づく. 3. 診査, 検査所見1)口腔内所見 上下顎の前歯部に歯肉の発赤腫脹が認められ, 隣接面を中心に4~7mmのプロービングデプスを示し, ほぼ全顎にBOPが認められた. 2)X線所見 全顎的に根長1/3から2/3に及ぶ水平性吸収を認め, 下顎左側小臼歯部では垂直性骨の骨吸収像が認められた. 3)全身状態 臨床検査の結果には異常値は認められなかった. 4. 診断 慢性歯周炎(成人性歯周炎)5. 治療計画 口腔清掃状態の改善と動揺歯の固定等歯周基本治療により, 早期に起炎因子の除去, 咬合の安静化を図る. その後歯周外科処置, 最終補綴物の処置を行う. 6. 治療経過1)歯周基本治療 プラークコントロール, スケーリング, ルートプレーニング, P-cur, 根管治療75, 43, 67, 抜歯2, 暫間固定咬合調整5431, 1234562)歯周精密検査3)歯周外科処置, 歯肉剥離掻爬手術123457, 345674)再評価5)最終補綴物, クラウン76, 54, 1234567ブリッジ(5)4(3), (5)6(7), (3)2(1)部分床義歯766)メインテナンス 抜髄37. 考察, まとめ 本症例では, 歯周組織の炎症もさることながら, 動揺歯や垂直性骨吸収を伴う歯牙が存在していた. そのため早期に咬合調整およぴ暫間固定を行い, 歯肉の炎症を軽減させることが出来た. 初診時に認められた下顎左側小臼歯部の垂直性骨吸収は, 比較的平坦化し改善が認められた. 今後, X線写真上で認められた垂直性骨吸収部位の改善や, 咬合管理, 根面う蝕の予防を含めた長期にわたるメインテナンスが必要と考えられた. |
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ISSN: | 0385-0110 |