歯周組織由来細胞に対する低出力超音波パルスの影響

【目的】現在, 低出力超音波パルス(以下US)は, 整形外科領域において数多くの骨折治癒効果が報告されているが, 細胞レベルにおける作用機序には不明な点が多い. 我々は, 第45回秋季日本歯周病学会学術大会においてイヌ抜歯窩モデルならびに歯肉剥離掻爬術モデルに対し, US照射による良好な歯槽骨の再生を報告した. そこで本研究では, イヌ歯周組織由来細胞を用い, USの創傷治癒に対する影響を細胞レペルで検索した. 【材料及び方法】1. 細胞培養:細胞はビーグル犬より骨芽細胞様細胞(DABCs), 歯根膜由来線維芽細胞(DPLFs), 歯肉由来線維芽細胞(DGFs)を分離培養した. DABCsは歯...

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Veröffentlicht in:日本歯周病学会会誌 2003, Vol.45 (suppl-2), p.132-132
Hauptverfasser: 田胡和浩, 光家由紀子, 伊海博之, 伊藤正明, 川瀬俊夫, 出口眞二
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】現在, 低出力超音波パルス(以下US)は, 整形外科領域において数多くの骨折治癒効果が報告されているが, 細胞レベルにおける作用機序には不明な点が多い. 我々は, 第45回秋季日本歯周病学会学術大会においてイヌ抜歯窩モデルならびに歯肉剥離掻爬術モデルに対し, US照射による良好な歯槽骨の再生を報告した. そこで本研究では, イヌ歯周組織由来細胞を用い, USの創傷治癒に対する影響を細胞レペルで検索した. 【材料及び方法】1. 細胞培養:細胞はビーグル犬より骨芽細胞様細胞(DABCs), 歯根膜由来線維芽細胞(DPLFs), 歯肉由来線維芽細胞(DGFs)を分離培養した. DABCsは歯槽骨片を1. 5%コラゲナーゼ/PBS(-)にて37℃, 20分間, 酵素処理を3回繰り返した骨片をメスにて細片し, 遊走してきた細胞を10%FCSを含むα-MEMにて培養, 継代し, 実験に供した. DPLFsは川瀬らの方法に従い細胞を確立し, DGFsは歯肉片を0. 4%dispaseIIにて上皮組織と結合組織に分離し, 結合組織より遊走してきた細胞をDPLFsと同様の培地(5%FCSを含むD-MEM)を用い培養した. 各細胞の4~8代を実験に使用した. 2. US照射条件:USは, SAFHS(R)(Exogen社製)を使用し, 周波数1.5MHz, バースト幅200μs, 繰り返し周期1KHz, 出力30mW/cm2にて1日1回20分間培養皿底より照射した. 3. 走化活性の検討:各細胞を2.0×10 4cells/cm2の密度で6穴プレートに播種し, 7日間培養後, USを1日1回20分間培養皿底より照射し, 24時間培養した. 照射開始後1, 2, 3, 4日目の培養上清(CM)を走化性因子とした. 走化性試験は出口らの方法に従い, 上室にはDABCsを, 下室には30μlの各CMを充填した. 6時間培養した後, フィルター下面に遊走した細胞をDiff-Quikにて染色後, 吸光度を測定し, 化学走化活性とした. 4. 細胞増殖活性の検討:各細胞を2.0×10 4cells/cm2の密度で96穴プレートに播種し, 24時間培養後, USを1日1回20分間培養皿底より照射し, 2, 4日後の細胞数を細胞増殖キットにて測定し, 細胞増殖活性とした. 【結果】1. DABCs, DPLFs, DGFsのCMのDABCsに対する走化活性は培養期間により変動した. DABCsは培養期間とともに活性は上昇したが, DPLFs, DGFsは著明な変化を示さなかった. また, 各細胞のUS照射によるDABCsに対する走化性因子産生に影響は認められなかった. 2. DABCs, DPLFs, DGFsの増殖活性はUS照射により高められ, 照射回数とともにUS照射による効果は増強された. 【考察及び結論】イヌの抜歯窩モデルならびに歯肉剥離掻爬術モデルに対するUS照射による有用性を報告し, 非侵襲的歯科治療応用への可能性を示した. それら組織学的結果を細胞レベルで解明するためDABCs, DPLFs, DGFsを用い, USの細胞増殖活性とDABCsに対する走化性因子産生への影響について検討し, US照射による細胞増殖の活性促進が要因の一つとして示唆された.
ISSN:0385-0110