侵襲性歯周炎患者に再生治療を行った一症例

【目的】侵襲性歯周炎患者は, 比較的若年者で深い歯周ポケットと進行した骨吸収を伴う臨床像を示す. このような症例に, 従来からの切除療法的な外科処置を応用した場合, 病変部の除去が充分であっても審美的な問題を残す可能性がある. 歯周組織再生誘導法(GTR法)は, 適切に行うことにより, 術後の歯肉退縮等の審美障害が少ない術式であると考えられる. 本症例では骨欠損部に対し, GTR法と自家骨移植を併用し, 審美的にも良好な予後が得られたので報告する. 【対象および方法】34歳, 女性. 平成12年3月に上顎右側第二大臼歯部の歯肉の腫脹, 疼痛にて来院した. 初診時の口腔内診査で全顎に渡る歯肉の腫...

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Veröffentlicht in:日本歯周病学会会誌 2003, Vol.45 (suppl-1), p.147-147
Hauptverfasser: 澤田大吾, 山之内文彦, 増永浩, 小方頼昌
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】侵襲性歯周炎患者は, 比較的若年者で深い歯周ポケットと進行した骨吸収を伴う臨床像を示す. このような症例に, 従来からの切除療法的な外科処置を応用した場合, 病変部の除去が充分であっても審美的な問題を残す可能性がある. 歯周組織再生誘導法(GTR法)は, 適切に行うことにより, 術後の歯肉退縮等の審美障害が少ない術式であると考えられる. 本症例では骨欠損部に対し, GTR法と自家骨移植を併用し, 審美的にも良好な予後が得られたので報告する. 【対象および方法】34歳, 女性. 平成12年3月に上顎右側第二大臼歯部の歯肉の腫脹, 疼痛にて来院した. 初診時の口腔内診査で全顎に渡る歯肉の腫脹が認められたため, 患者に歯周治療の必要性を説明し, 歯周治療を開始した. 歯周精密検査の結果, 全顎的に4~10mmの深い歯周ポケットが認められ, デンタルX線上では, 歯根長1/2を越える骨吸収が全顎的に認められた. 以上の臨床的所見から広汎性侵襲性歯周炎と診断した. 歯周基本治療の中で, III度の動揺度と疼痛を認めた上顎左側第二大臼歯は抜歯を行い, デンタルX線にて垂直性骨吸収を認めた下顎左右小臼歯部には暫間固定及び咬合調整を行った. 口腔清掃指導, スケーリング, ルートプレーニングを行った後の歯周精密検査の結果, 全顎的にボケットの改善は認められたが, 垂直性骨欠損を伴う4~8mmの歯周ポケットが下顎左右小臼歯部に残存していたため, 歯周外科処置を行う計画を立案し, 術式としては, 吸収性膜(GCメンブレン)を使用したGTR法(自家骨移植を併用)を行う計画とした. 現在, 術後4~15ヶ月を経過したが, 再評価検査の結果, デンタルX線上で歯槽骨の再生が認められ, 歯周ポケットの値は3mm程度で, 炎症もコントロールされ, 総合的に良好な予後が維持されている. 【考察および結論】本症例は, 34歳の女性で, 侵襲性歯周炎の臨床症状を認めたため, 歯周外科手術に際しては, 歯周組織の再生を期待すると伴に, 術後の審美性も考慮して歯周外科処置を行った. 下顎臼歯部は骨欠損が著明であり, 術後の歯肉退縮は避けられなかったが, 自家骨移植を併用したGTR法を行ったことにより, 唇側の歯肉退縮を最小限に止めることができたと考えられた. 今後, 長期的なメインテナンスを継続していく予定である.
ISSN:0385-0110