エナメルマトリックスタンパク質による骨シアロタンパク質の転写の調節

【目的】骨シアロタンパク質(BSP)は, 石灰化初期に石灰化組織特異的に発現する非コラーゲン性タンパク質であり, アパタイト結晶形成能を有すること, 骨転移を生ずるガン細胞で発現が認められることから, 石灰化およびガンの骨転移との関係が注目されている. 今回我々は, エナメルマトリックスタンパク質(エムドゲイン;EMD)の作用機序を検索する目的で, BSPの転写調節機構の解析を行った. 【材料および方法】1)ラット骨芽細胞様細胞ROS17/2. 8細胞を用い, BSPmRNA量の変化をノーザンブロット法にて検索した. 2)BSP遺伝子プロモーター領域の長さを調節したルシフェラーゼプラスミドをR...

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Veröffentlicht in:日本歯周病学会会誌 2003, Vol.45 (suppl-1), p.104-104
Hauptverfasser: 清水映美, 中嶋祐, 加藤直子, 中山洋平, 高井英樹, 金東淳, 新井政人, 斎藤綾一朗, 佐本博, 小方頼昌
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】骨シアロタンパク質(BSP)は, 石灰化初期に石灰化組織特異的に発現する非コラーゲン性タンパク質であり, アパタイト結晶形成能を有すること, 骨転移を生ずるガン細胞で発現が認められることから, 石灰化およびガンの骨転移との関係が注目されている. 今回我々は, エナメルマトリックスタンパク質(エムドゲイン;EMD)の作用機序を検索する目的で, BSPの転写調節機構の解析を行った. 【材料および方法】1)ラット骨芽細胞様細胞ROS17/2. 8細胞を用い, BSPmRNA量の変化をノーザンブロット法にて検索した. 2)BSP遺伝子プロモーター領域の長さを調節したルシフェラーゼプラスミドをROS17/2. 8細胞に導入し, BSPの転写活性に対するEMDの影響をルシフェラーゼアッセイにて検索した. 3)BSP遺伝子のプロモーター配列と核内タンパク質との結合をゲルシフトアッセイにて検索した. 【結果】1)ノーザンハブロット法にて検索を行った結果, EMD(50および200μg/ml)はBSPmRNA量を12時間後に約2. 8倍上昇させた. その上昇は, 50および200μg/ml EMDで同程度であった. 2)BSPの転写活性に対するEMD(50μg/ml)の影響をルシフェラーゼアッセイで検索した結果, 転写開始位置より-424塩基対上流を含む配列(pLUC4)および-801塩基対上流を含む配列(pLUC5)にて転写活性の上昇が認められた. 3)-116から-801塩基対までに含まれるホメオボックス(Hox)配列とアクチベータープロテイン2(AP2)と重複してTGFβ応答配列が存在するため, ゲルシフトアッセイにてそれぞれのDNA配列と骨芽細胞核内タンパク質との結合を検索した結果, 50μg/ml EMD刺激によりそれぞれの結合が上昇した. 【考察および結論】EMD刺激によりBSPmRNA量の増加が認められ, 転写開始位置より-424および-801塩基対上流を含むプロモーター配列がEMDによる転写調節に関与していると考えられた. この転写活性の上昇は, Hox配列およびTGFβ応答配列に結合する転写因子の結合の上昇を介していることが示唆された. どの様な情報伝達系を介するかは今後検討する予定である.
ISSN:0385-0110