歯肉出血指数の臨床応用に関する研究
歯肉出血指数 (Bleeding Index, 以下BI) は歯周疾患の兆候を確認する手段として多用されている。しかし, その健常範囲や具体的な臨床への応用は必ずしも明示されていない。本研究の目的はBIの健常値を求めることと新たな臨床への応用法を検討することである。BIの判定には測定圧を一定にできるPSプローブ (R) を用いた。BIの健常値は健常ボランティア50名に1カ月間プラークコントロールを徹底させることで求めた。べースラインのBIは17.4±8.3%, 1カ月後は6.6±3.1%となった。また1カ月後のBIの分布は正規分布に近似した。このことからプラークコントロール良好な健常者のBIの...
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Veröffentlicht in: | 日本歯周病学会会誌 2003/09/28, Vol.45(3), pp.229-240 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 歯肉出血指数 (Bleeding Index, 以下BI) は歯周疾患の兆候を確認する手段として多用されている。しかし, その健常範囲や具体的な臨床への応用は必ずしも明示されていない。本研究の目的はBIの健常値を求めることと新たな臨床への応用法を検討することである。BIの判定には測定圧を一定にできるPSプローブ (R) を用いた。BIの健常値は健常ボランティア50名に1カ月間プラークコントロールを徹底させることで求めた。べースラインのBIは17.4±8.3%, 1カ月後は6.6±3.1%となった。また1カ月後のBIの分布は正規分布に近似した。このことからプラークコントロール良好な健常者のBIの範囲は0~12%程度であると推定された。臨床応用法としてはプラークコントロール状態の判定にBIを用いることを考えた。この検討には健常ボランティア30名を対象に実験的歯肉炎を起こさせた上で, プラークコントロールにより炎症を消退させ, この間のプラーク指数とBIの関係を調査した。この結果, プラークコントロールを再開してからBIが改善するには少なくとも3日から1週間のプラークコントロールの継続が必要であった。すなわちプラーク指数は即時的なプラークコントロール状態を示すのに対し, BIは継続的なプラークコントロール状態の判定に用いることができると考えられた。以上の結果を臨床で確認すべく, 長期メインテナンス患者26名のBIを検討した。この結果, 初診時ではBIにばらつきがみられたが, 治療の経過およびメインテナンス移行後はプラークコントロールの改善に伴ってBIは健常範囲に収まる傾向を認めた。以上より, BIはその健常値をもとに歯肉の炎症状態のみならず, 持続的なプラークコントロールの成否を判定する指標としても有効と思われた。 |
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ISSN: | 0385-0110 1880-408X |
DOI: | 10.2329/perio.45.229 |