ヒト歯根膜細胞のマトリックスメタロプロテアーゼ (MMP) とそのインヒビター (TIMP) 産生について: 偏性嫌気性グラム陰性菌の超音波破砕菌体抽出物による影響
本研究の目的は, 根尖部歯周組織に常在の非炎症性細胞である歯根膜細胞が, 根尖性歯周炎において果たす役割について明らかにすることである。根尖性歯周炎関連細菌として, Porphyromonas endodontalis (PE), Porphyromonas gingivalis (PG), Prevotella intermedia (PI), Fusobacterium nucleatum (FN) の4種の偏性嫌気性グラム陰性菌を用いて, 超音波破砕菌体抽出物 (SBE) を調製し, ヒト歯根膜 (PL) 細胞による細胞外マトリックス (ECM) 成分分解系に対する影響について検索した。...
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Veröffentlicht in: | 日本歯周病学会会誌 1997/06/28, Vol.39(2), pp.205-216 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 本研究の目的は, 根尖部歯周組織に常在の非炎症性細胞である歯根膜細胞が, 根尖性歯周炎において果たす役割について明らかにすることである。根尖性歯周炎関連細菌として, Porphyromonas endodontalis (PE), Porphyromonas gingivalis (PG), Prevotella intermedia (PI), Fusobacterium nucleatum (FN) の4種の偏性嫌気性グラム陰性菌を用いて, 超音波破砕菌体抽出物 (SBE) を調製し, ヒト歯根膜 (PL) 細胞による細胞外マトリックス (ECM) 成分分解系に対する影響について検索した。実験には新鮮抜去歯の歯根膜組織から分離培養した5-9継代細胞を使用した。コンフルエントに達した後, 各SBE (終濃度: 10μg protein/ ml) を添加して48時間培養し, 回収した培養液上清中のマトリックスメタロプロテアーゼ (間質コラゲナーゼ: MMP-1, ゼラチナーゼA: MMP-2) 活性およびTIMPs (TIMP-1, TIMP-2) 量を測定した。 その結果は以下のとおりである。 1. MMP1に関しては, 全ての菌種のSBEで活性型の産生促進は認められなかった。一方, 総MMP-1については, PGとPIで軽度な産生抑制が認められたのに対して, FNの場合有意な産生促進が認められた。 2. MMP-2に関しては, PEとPGで活性型の顕著な産生促進が認められた。一方, 総MMP-2については, PIで軽度な産生抑制が認められた。 3. TIMP-1については, PGとFNで有意な産生促進が認められた。 4. TIMP-2については, 全ての菌種のSBEで顕著な産生促進が認められた。 これらのことから, 今回用いた4菌種のSBEは, PL細胞のMMPsとTIMPs産生に対して, それぞれ異なった影響を及ぼすことが明らかとなった。従って, 今回の実験結果から, 種々の根尖性歯周炎関連細菌の影響によって, PL細胞が根尖性歯周炎の発症に関連している可能性が示唆された。 |
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ISSN: | 0385-0110 1880-408X |
DOI: | 10.2329/perio.39.205 |