B-6.DHT投与による骨の過形成に関する研究歯槽骨の過形成と血管機能の関速性について

DHTをラットに連日投与すると, ラットの骨カルシウム代謝に障害が起こり, とくに歯槽骨およびセメント質では, その表面にosteroid様またはcementoid様物質の増生が著しくなり, ついには歯根膜腔が狭搾するようになる. しかし, この変化の実態についての研究は充分ではない. そこで, 今回は以下に示す方法で実験を行い, 局所環境にみられる骨原性細胞とその周囲血管に注目し, 主にこれを電顕的に観察した. 〔方法〕生後4週齢の雌ラットを用い, DHT(Sigma Chem. CO. USA)50μgを15日間投与および30日間連日投与した. 屠殺後, 下顎骨を摘出し, 光顕用には塩化シ...

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Veröffentlicht in:日本歯周病学会会誌 1987, Vol.29 (1), p.290-291
Hauptverfasser: 栗橋豊, 大沢一茂, 栗原徳善, 渡辺幸男, 池田克己, 高橋常男, 池内孝芳, 高橋和人
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:DHTをラットに連日投与すると, ラットの骨カルシウム代謝に障害が起こり, とくに歯槽骨およびセメント質では, その表面にosteroid様またはcementoid様物質の増生が著しくなり, ついには歯根膜腔が狭搾するようになる. しかし, この変化の実態についての研究は充分ではない. そこで, 今回は以下に示す方法で実験を行い, 局所環境にみられる骨原性細胞とその周囲血管に注目し, 主にこれを電顕的に観察した. 〔方法〕生後4週齢の雌ラットを用い, DHT(Sigma Chem. CO. USA)50μgを15日間投与および30日間連日投与した. 屠殺後, 下顎骨を摘出し, 光顕用には塩化シアヌル固定後, 7%EDTAで脱灰, 通法によってセロイジンを包埋した. 電顕用には摘出後, 直ちに25%グルタールアルデヒド(0.1Mカコジレート緩衝液pH7.3)にて前固定, 7%EDTA脱灰, 1%オスミウム(0.1%ルテニウムレッドを含む)で後固定, 通法によって脱水, スパー包埋した. 〔結果〕DHTを投与すると, 光顕的には, 歯根膜に沿って歯槽骨およびセメント質にエオジン好染性のosteo-idやcementoidが観察された. 電顕的には, 過剰類骨部でこれに接する骨芽細胞は一列又は数層重なって並び, 個々の骨芽細胞はお互いの突起によって, また類骨中の骨芽細胞様細胞とも連絡し, 対照群より, 密な連絡を思わせる細胞質突起の断端が多数みられた. また歯槽骨部で新たに形成された類骨部とは, ルテニウムレッド陽性物質による不規則なelectrondenselineによって境されていた. 骨芽細胞はγ-ERの拡張, ゴルジ空胞内の暗調な物質の存在を特徴とし, ときに空胞内には周期構造をもつ線維状構造物が認められた. 類骨過剰形成初期(15日目)では骨芽細胞に近接して有窓内皮をもつ毛細管の増殖がみられたが, 30日目では, 反対に毛細管は減少し, 骨芽細胞と接して拡張した細静脈および出血像がみられるようになった. 細静脈周囲は線維素様物質で被われ, また類骨内にも毛細管崩壊像が認められた.
ISSN:0385-0110