A-10.Bacteroides gingivalis により血清中に生じる腹腔細胞誘導活性

歯周病では歯肉溝から多形核白血球(PMN)を主とする細胞成分の滲出が亢進している. この現象の機序を調べる目的でマウスにおける実験系の確立を目指している. すなわちマウス腹腔に歯周病原性細菌の一つであるB. gingivalis 菌体を注射すると強いPMNの誘導がみられた. この現象を解析することは歯周病におけるPMN滲出亢進の機序を考える上で参考になると思われる. 今回は以下の実験により, B. gingivalis によるマウス腹腔内へのPMNの誘導には補体由来の走化性因子とりわけC5aが腹腔内で生成されることが重要であることが示唆された. 1. B. gingivalis を注射した後経...

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Veröffentlicht in:日本歯周病学会会誌 1987, Vol.29 (1), p.252-252
Hauptverfasser: 相田宜利, 戸田佳子, 山田久仁子, 青野正男
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:歯周病では歯肉溝から多形核白血球(PMN)を主とする細胞成分の滲出が亢進している. この現象の機序を調べる目的でマウスにおける実験系の確立を目指している. すなわちマウス腹腔に歯周病原性細菌の一つであるB. gingivalis 菌体を注射すると強いPMNの誘導がみられた. この現象を解析することは歯周病におけるPMN滲出亢進の機序を考える上で参考になると思われる. 今回は以下の実験により, B. gingivalis によるマウス腹腔内へのPMNの誘導には補体由来の走化性因子とりわけC5aが腹腔内で生成されることが重要であることが示唆された. 1. B. gingivalis を注射した後経時的に洗浄液を回収した. 蛋白濃度を測定すると3~4時間目にピークを示した. 洗浄液を再び別のマウスに注射すると6~36時間目のものにはPMN誘導能があったが, 3および72時間目のものには無かった. 2. B. gingivalis と血清を37℃で30~60分間処理し, それを注射するとPMN誘導がみられた. 血清を56℃30分間処理するとPMN誘導活性の生成はみられず, 血清中にε-アミノカプロン酸(250mM)を添加するとPMN誘導活性は著しく高まった. 3. C5欠損マウスであるAKR系マウスではB. gingivalis によるPMN誘導は低く, またAKRマウス血清をB. gingivalisとインキュベートしても高いPMN誘導活性は生じなかった. 4. B. gingivalis 処理ヒト血清ではMW15Kを含む画分にPMN誘導活性がみられた. 5. ヒト血清中に生じたPMN誘導活性は, ヤギ抗ヒトC5抗体で吸収されるし, 吸着した活性は溶出できた. しかしヤギ抗ヒトC3抗体では吸収できなかった.
ISSN:0385-0110