A-1.歯周病の抗生物質治療第1報抗生物質の選択

歯周疾患の治療では, その発症, 進行の原因である歯肉溝内細菌をコントロールすることが最大の課題であり, その方法としてブラッシング, スケーリングなどの機械的処置が挙げられる. 一方, 多くの報告がBacteroides gingivalis(Bg)をはじめとする歯周病原性菌にテトラサイクリン(TC)などの抗生物質が有効であることを示している. それらは歯周疾患への化学療法の可能性を示唆するものであるが, 歯周病巣に存在する縁下プラーク細菌に対して直接抗菌性を調べた報告はわずかに散見されるに過ぎない. そこで, 今回演者らは, 歯周疾患治療に有用な抗生物質を選択する目的で, 種々の抗生物質に...

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Veröffentlicht in:日本歯周病学会会誌 1987, Vol.29 (1), p.247-247
Hauptverfasser: 中島光一, 江口徹, 水道裕久, 中村正一, 杉原邦夫, 村山洋二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:歯周疾患の治療では, その発症, 進行の原因である歯肉溝内細菌をコントロールすることが最大の課題であり, その方法としてブラッシング, スケーリングなどの機械的処置が挙げられる. 一方, 多くの報告がBacteroides gingivalis(Bg)をはじめとする歯周病原性菌にテトラサイクリン(TC)などの抗生物質が有効であることを示している. それらは歯周疾患への化学療法の可能性を示唆するものであるが, 歯周病巣に存在する縁下プラーク細菌に対して直接抗菌性を調べた報告はわずかに散見されるに過ぎない. そこで, 今回演者らは, 歯周疾患治療に有用な抗生物質を選択する目的で, 種々の抗生物質について臨床分離株, および縁下プラーク細菌の両者に対する生育抑制効果をあわせて検討したので報告する. 〔材料と方法〕1)Bgをはじめとする黒色色素産生性Bacteroides (BPB), A ctinobacillus actinomycetemcomi-tans, Capnocytophaga species などの臨床分離株を被験菌としミノサイクリン(MINO), ペニシリンG(PCG), TC. クソンダマイシン(CLDM), メトロニダゾール(MD)などに対する感受性をWilkins-Chalgren寒天平板, , L釈法にて求めた. 2)重度歯周炎患者から採取した縁下プラークを前述の抗生物質を含む血液寒天培地上に塗布し, 各抗生物質の生育抑制率を算出した. 〔結果と考察〕1)BgをはじめBPBに対してはPCG, MINO, CLDM, MD, TC, の順に生育抑制効果が高かった. MINOは他の被験菌に対しても同様に高い効果を示した. 2)縁下プラーク細菌に対し, MINO, PCGでは1μg/ml, CLDM, TC, では5μg/mlの濃度でそれぞれ95%以上の生育抑制率を示したが, MDは5μg/mlで60%と抑制効果は低かった. 以上の結果は従来の報告を支持するものであり, 歯周病原菌に幅広く強い抗菌力を示し, 耐性菌, 副作用などの問題が少ないMINOが歯周疾患の局所治療剤として適当であると考えられた.
ISSN:0385-0110