B-14.歯周疾患における炎症性細胞とヒスタミン受容体
歯周疾患における炎症局所で働く炎症性細胞とchem-ical mediatorとの相互関係を明らかにするために今回は, 好中球細胞膜上のヒスタミンレセプターと当レセプターを介してのヒスタミンの好中球への影響について検討してみた. 好中球細胞膜上のヒスタミンレセプターの検出はSepharose4B粒子を用いたロゼット法にて行った. その結果, 健康成人末梢血中好中球のロゼット形成率は, 4.95±0.86であった. そこで, これらのロゼット形成が明らかにヒスタミンレセプターを介しているのか, さらにそれがH1レセプターかH2レセプターかの検討をヒスタミンとantagonistによるロゼット形成...
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Veröffentlicht in: | 日本歯周病学会会誌 1986, Vol.28 (3), p.944-945 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 歯周疾患における炎症局所で働く炎症性細胞とchem-ical mediatorとの相互関係を明らかにするために今回は, 好中球細胞膜上のヒスタミンレセプターと当レセプターを介してのヒスタミンの好中球への影響について検討してみた. 好中球細胞膜上のヒスタミンレセプターの検出はSepharose4B粒子を用いたロゼット法にて行った. その結果, 健康成人末梢血中好中球のロゼット形成率は, 4.95±0.86であった. そこで, これらのロゼット形成が明らかにヒスタミンレセプターを介しているのか, さらにそれがH1レセプターかH2レセプターかの検討をヒスタミンとantagonistによるロゼット形成の抑制試験により行った. その結果, ヒスタミン(10-7Mol)およびH2antagonistであるシメチジン(10-7Mol)によるロゼット形成の抑制効果がみられた. 次にBacteroides gingivalisの超音波破壊上清液(BGextracts)とformyl-methionyl-leucyl-phenylalanine(FMLP)を好中球に作用させると同時に前法と同様, ヒスタミンとantagonistによる抑制試験を行った所, 両物質ともにロゼット形成率を増加させ, しかもそれは明らかにH2レセプターを増加させていることが解った. 最後にヒスタミンの好中球機能への影響を墨粒による負食能, FMLPに対する走化能, そしてチトクロームC還元法によるO2-産生能について検討してみた. その結果, ヒスタミンは負食能, 走化能を低下させるがO2-産生能には影響を及ぼさないことが解った. 以上のことから, 好中球細胞膜上にはヒスタミンのH2レセプターが明らかに存在し, それはBGextractsおよびFMLPの刺激によって増加することがわかり, さらにヒスタミンは好中球の墨粒に対する貧食能, FMLPに対する走化能を低下あるいは抑制することが解った. 〔質問〕(東医歯大歯)石川烈 若年性歯周炎において高IgE血症を伴う場合が報告されており, この場合ヒスタミンの放出が白血球の走化性を抑制している事が考えられているが, 今回の御発表でこの点についてのお考えをいただければ. 〔回答〕(城西歯大)楠公仁 ヒスタミンの作用には, 従来報告されているように血管透過性の元進がありますが, 最近の知見では免疫系あるいは炎症経過における反応への抑制的効果が挙げられてきています. しかも, その反応はヒスタミンレセプターのH2レセプターを介していることが解って来ております. ということは若年性歯周炎における局所でのヒスタミンの解離は単に血管への作用だけでなく, 好中球さらには免疫系への関与がみられることが十分に示唆されると思います. |
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ISSN: | 0385-0110 |