B-5. 歯周病患者の白血球機能に関する研究 第3報成人性歯周炎患者の好中球機能について
歯周病患者における免疫能, とりわけ好中球, 単球といった食細胞機能に関する研究は最近多く見受けられるが, 遊走から菌の食食にいたるまでを総合的に評価した報告は散見されるのみである. 演者らは前回, 重度進行性歯周炎(RPP)患者の末梢血好中球の貧食能が顕著に低下していることを報告したが, 今回は, 引き続き成人性歯周炎(AP)患者の末梢血好中球および単球の諸機能について, 同様の系を用いて検討した. 〔被験者〕岡山大学歯学部附属病院第2保存科を訪れたAP患者15名と, 性および年齢が一致する健常人11名. 〔方法〕(1)好中球および単球:Percoll(R)不連続密度勾配遠心法による. (2...
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Veröffentlicht in: | 日本歯周病学会会誌 1986, Vol.28 (3), p.938-938 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 歯周病患者における免疫能, とりわけ好中球, 単球といった食細胞機能に関する研究は最近多く見受けられるが, 遊走から菌の食食にいたるまでを総合的に評価した報告は散見されるのみである. 演者らは前回, 重度進行性歯周炎(RPP)患者の末梢血好中球の貧食能が顕著に低下していることを報告したが, 今回は, 引き続き成人性歯周炎(AP)患者の末梢血好中球および単球の諸機能について, 同様の系を用いて検討した. 〔被験者〕岡山大学歯学部附属病院第2保存科を訪れたAP患者15名と, 性および年齢が一致する健常人11名. 〔方法〕(1)好中球および単球:Percoll(R)不連続密度勾配遠心法による. (2)負食能:好中球とFITC標識黄色ブドウ球菌を反応させ, 染色後, 螢光顕微鏡下で, 好中球100個当りに付着した菌数および取り込まれた菌数を計測した. (3)遊走能:Boyden chamber法による. 走化性因子には, FMLP(好中球)およびEAS(単球)を用いた. (4)リゾチーム活性:M. lysodeiktcusの溶菌活性で測定した. 〔結果および考察〕好中球の貧食能は, 付着能, 細胞内取り込み能ともにAP患者と健常人間で差はみられなかった. Fcレセプター保有細胞数にも変化はみられなかった. また, 遊走能においても, 好中球のランダム遊走能, 走化性, 単球の走化性に差はみられなかった. FMLP刺激によるリゾチーム放出性にも差はなかった. これらの結果, 好中球の遊走から貧食にいたる一連のステップは, AP患者でも健常人と同等であり, このうち遊走能についてはPageらのグループの報告と一致し, 貧食能については前回報告したRPP患者との違いが明らかになった. 以上より, 白血球の機能評価が, 歯周疾患を解析する上で, 有用な指標になりうるものと考える. 〔質問〕(九大歯)前田勝正 今回のAP患者における末梢血PMNの結果は, 歯周疾患の動態とどのように関連していると考えられますか. 〔回答〕(サンスター(株)基礎研)松田尚樹 本研究では, 歯周炎発症の違いから成人性歯周炎(AP), 若年性歯周炎(JP)等に分類しており, 臨床症状の重篤度との関係は明らかでない. 今後, 同一患者の症状の変化と好中球機能についてフォローしていきたいと考えます. 〔追加〕(岡大歯)村山洋二 歯周病のタイプによって分類することによってスタートした. したがって, 症状の重症度との関連は推察し難い. 〔質問〕(阪大歯)岡田宏 細菌の取り込みがFcレセプターが関与する食食機構とお考えのようですが, この系では抗体の関与がありませんので, Fcレセプターをブロックした時の菌の取り込みを検討されるべきだと思いますが. 〔回答〕(サンスター(株)基礎研)松田尚樹 御指摘の通り, FAロゼット形成能評価はFcレセプター保有細胞検出のために行ったが, Fcレセプターをブロックした実験は行っておらず, 今後, 確認しておく必要があると考えます. |
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ISSN: | 0385-0110 |