A-30.思春期における歯肉炎の歯肉溝内細菌叢
我々は某中学校における歯周疾患実態調査により, 生徒の大半が歯肉炎に罹患していることを報告した. 報告の中で我々は学校歯科保健において, この時期の歯肉炎に目を向けることが重要であるという歯周保健に関する提言を行った. しかし, この時期の歯肉炎が思春期に特有のものであるのか, 成人の歯周疾患につながって行くものなのか明らかではない. また, 思春期における歯肉炎に関する報告は少なく, 特に細菌学的な報告はほとんどない. そこで我々は成人の歯周疾患との関連を検討していくために, 歯肉炎を有する中学生の歯肉縁下細菌叢について検索した. 対象は中学1年から3年の男女36名で, 1」ないし2」を選び...
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Veröffentlicht in: | 日本歯周病学会会誌 1986, Vol.28 (3), p.921-921 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 我々は某中学校における歯周疾患実態調査により, 生徒の大半が歯肉炎に罹患していることを報告した. 報告の中で我々は学校歯科保健において, この時期の歯肉炎に目を向けることが重要であるという歯周保健に関する提言を行った. しかし, この時期の歯肉炎が思春期に特有のものであるのか, 成人の歯周疾患につながって行くものなのか明らかではない. また, 思春期における歯肉炎に関する報告は少なく, 特に細菌学的な報告はほとんどない. そこで我々は成人の歯周疾患との関連を検討していくために, 歯肉炎を有する中学生の歯肉縁下細菌叢について検索した. 対象は中学1年から3年の男女36名で, 1」ないし2」を選び, ペーパーポイントを用いて歯肉縁下プラークを採取し, 7日間の嫌気培養と位相差顕微鏡によるカウントを行った. その結果, 全菌数および, motile rods の割合, spiro-chetes の割合はgingivitis index, pocket depth, bleed ingindex, plaque indexと正の順位相関があった. また, GI中央値を指標として健康群と歯周炎群に分けて菌叢を検索したところ, 歯肉炎群は健康群に比べて有意に高い割合でmotile rods とspirochetes が存在し, Actinomyces とStreptococcus , は低い割合であった. 今回, 検索した偏性嫌気性菌に関しては, Fusobacterium は健康群で0.7%の割合なのに対し, 歯肉炎群では1.7%と有意に高い値を示したが, Bacteroides は両群とも2. 3%の割合で存在し群間に差はなかった. またEikenella は両群ともにほとんど検出されなかった. 以上の結果より, この時期における歯肉炎においてもmotile rods spirochetes の割合は炎症の細菌学的パラメーターとなりうることが示唆された. また, 今回培養した菌以外に優勢菌が存在する可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0385-0110 |