B-11.若年者にみられる高度歯周炎26症例の臨床的分析と経過について
若年性歯周炎という名称は, かつては歯周症として扱われた10代後半から30代までにみられる歯周組織の高度の破壊性病変を, その初発が第2次性徴期に相当し, 1次性の変性性疾患であるという確証が得られないことから提唱された病名である. 若年性歯周炎という疾患の是非はともかくとして, その成り立ちや診断根拠を明確にするためには, 若年者にみられる歯周炎の長期的な経過観察が必要であると思われる. その第1歩として, 我々は先の日本歯科保存学会において, 昭和45年度から57年度までに当病院第2保存科を受診した初診時10歳台の歯周疾患患者132例に関する臨床的分析結果を報告した. そのなかで, いわゆ...
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Veröffentlicht in: | 日本歯周病学会会誌 1984-09, Vol.26 (3), p.627-627 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 若年性歯周炎という名称は, かつては歯周症として扱われた10代後半から30代までにみられる歯周組織の高度の破壊性病変を, その初発が第2次性徴期に相当し, 1次性の変性性疾患であるという確証が得られないことから提唱された病名である. 若年性歯周炎という疾患の是非はともかくとして, その成り立ちや診断根拠を明確にするためには, 若年者にみられる歯周炎の長期的な経過観察が必要であると思われる. その第1歩として, 我々は先の日本歯科保存学会において, 昭和45年度から57年度までに当病院第2保存科を受診した初診時10歳台の歯周疾患患者132例に関する臨床的分析結果を報告した. そのなかで, いわゆる若年性歯周炎の範曙に含まれる高度歯周炎例は男5例, 女21例の計26例であった. 今回は, これらの症例についての臨床的特徴や治療経過について報告する. 高度歯周炎例中, 男性の4例と女性の18例はいずれも初診が17歳以降であったが, これらの症例を含めて, 歯肉の発赤腫脹, 出血を主訴とする例が全体の約7割を占め, その他歯周組織の異常を来院数年前から自覚している例が多かった. 歯槽骨の吸収形態からIncisal Molar Pattemに含まれる例が23例で, Generalized Pattemに含まれる例は女性の3例であった. また, 上顎切歯部, 上下顎第1大臼歯部において垂直性の吸収を示したものが多く, 第1大臼歯部では左右に対称的に生じる傾向があった. 歯周Pocketは最大8mm程度で, 切歯部では下顎が, 第1大臼歯部では上顎が深い傾向を示した. また, 26例中8例に家族歴がみられたほか, 女性患者の約7割が生理不順を訴えていた. これらの症例について治療後数年から10数年にわたり経過を観察したところ, 治療中断例で骨吸収が進展せず再生傾向がみられたり, 治療例で骨吸収が進行していたり, その結果は症例によって多様であった. 〔質問〕(岡大予歯)渡辺達夫 1. 本症例群において(1)生理不順(2)家族の歯周病患者等が多く出現したとのことだが, 他の群と年齢, 性別をマッチングして統計処理されたらよいと思う. 〔質問〕(東京都)川崎仁 2. 上顎臼歯部にV型骨吸収がみられ下顎ではH型であったことの理由はどうとらえられているか. 〔解答〕(岩医大歯)渋井発 1. 今回の発表で, 特に調べておりません. 2. クラウンや修復物が装着されてなく, 歯列に欠損のない症例を選んでいるので外傷性咬合, その他咬合に関する要因は除外されていると思います. |
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ISSN: | 0385-0110 |