A-9.歯肉剥離掻爬手術後の新付着に関する研究-種々の操作を施した根面への培養細胞の付着について
近年, 新付着の成就には, 軟組織側の対応の他に, 根面の状況がその成否を大きく左右する要因であると考えられている. 演者らもこういった観点から, ヒトあるいはサルを用いて根面に種々の操作を加え, 手術後の付着について検索を進めてきた. その結果, セメント質表層を一層掻爬した場合において, 新生セメント質は形態的には本来のセメント質と様相を異にするものの, より歯冠側でその形成が起こり, 更にその歯冠側では線維性付着がなされるという所見を得た. 半面, 現時点では将来の付着様式決定に大きく関与する初期付着についての詳細は, 十分解明されえない側面があるように思われる. 殊に, 根面の状況の差...
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Veröffentlicht in: | 日本歯周病学会会誌 1984-09, Vol.26 (3), p.595-596 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 近年, 新付着の成就には, 軟組織側の対応の他に, 根面の状況がその成否を大きく左右する要因であると考えられている. 演者らもこういった観点から, ヒトあるいはサルを用いて根面に種々の操作を加え, 手術後の付着について検索を進めてきた. その結果, セメント質表層を一層掻爬した場合において, 新生セメント質は形態的には本来のセメント質と様相を異にするものの, より歯冠側でその形成が起こり, 更にその歯冠側では線維性付着がなされるという所見を得た. 半面, 現時点では将来の付着様式決定に大きく関与する初期付着についての詳細は, 十分解明されえない側面があるように思われる. 殊に, 根面の状況の差異による初期付着に関しては皆無である事から, 今回演者らは, 種々の根面状態における初期の付着機構を検索する目的で, 以下の実験を行った. 即ち, サル抜去健全歯根面に種々の操作(1. セメント質表層掻爬, 2. セメント質表層掻爬後citric acidを塗布, 3. root planingにより象牙質を裸出, 4. rootplaning後citric acidの塗布, 5. 根面無処置)を加え, それらの歯根片を96wellsのマイクロプレートに入れ, その上へ, 貼りつけ法により初代培養, 継代を経て得たサル歯肉由来の線維芽細胞を5×104cells/well植え込み培養を行った. 1, 3, 5日後に歯根片を取り出し, 型通りの方法で, S. E. M. , T. E. M. 試料を作成, その付着様式について観察した. その結果, 方法論はともかく, collagenの露出は細胞が付着するのに足場を提供する重要な役割を担っているように思われた. 一方, セメント質線維を残したもの以外, 露出された線維は新生線維様物質とのinterdigitationよりはむしろ, 細胞内へ取り込み, 消化しようとする態度がみられた. 〔質問〕(化研病理)秋吉正豊citric acidによって根面に脱灰が起こり, その場合の培養fibroblastの変化をみられておられるのか. 〔解答〕(大歯大)西村和晃そうである. 特に, 根面条件の違いが細胞に対してどのような影響を与えるかについて行なった. 〔質問〕(東歯大)山田了 象牙質表層にcitric acidを応用した場合, 表層に露出した膠原線維は, 初期では表層に付着した線維芽細胞は一度線維の取こみがかならず起るのか, または起らない場合もあるのか. 〔解答〕(大歯大)西村和晃 必ず起るかどうかということについては明言出来ないが, 本実験の結果からその可能性は高いと思われる. 〔質問〕(日大)伊藤公一 1. 本実験は健全歯根面に対しての結果であるが, 歯周疾患罹患歯根面に対してはどのように考えるか. 2. 結果から正常と思われるセメント質を残す方がより新付着が起ると考えて良いか. 〔解答〕(大歯大)西村和晃 1. 先生御質問の実験条件で, 現在研究を進めており, 機会をみて発表する予定である. 2. 新付着を含めて, より強固な結合が起る可能性が強いように思われる. 〔質問〕(神歯大)斉藤滋 fibroblast付着性はCollagen fiberのみならず, Bactearia由来のToxicな物質を吸着しているApatiteを溶解することがかなりeffectがあるのではないかと思いますが, いかがですか. 〔解答〕(大歯大)西村和晃 endotoxinの局在については, 最近, 再検討の機運がみられ, もし, セメント質内にendotoxinが存在するならば, 先生のお考えの通りの作用が勿論考えられると思う. |
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ISSN: | 0385-0110 |