52.歯肉炎の発生に対する口呼吸の影響

臨床的にみて, 口呼吸常習者の前歯部には高度の歯肉炎が起こりやすく, その原因として, 粘膜の脱水乾燥や歯垢沈着の促進などが考えられるが, まだ十分には解明されていない. 我々はこれまで, 流体力学の手法を応用して口腔内気流の可視化模型実験を行ない, 前歯の傾斜や開口度, 被蓋関係などが気流に与える影響を明らかにしてきた. 今回の実験目的は, これらの知見をもとに, 口呼吸における口腔粘膜の脱水乾燥現象を部位別に定量し, 口腔内気流の速度分布との関連を解明することである. 実験には, ヒト矢状断面顎模型を風洞内に置いて吸気呼気, 状態を再現し, 模型表面各所に貼付した湿潤濾紙の重量変化を測定し...

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Veröffentlicht in:日本歯周病学会会誌 1984, Vol.26 (1), p.162-162
Hauptverfasser: 小林一郎, 光銭裕二, 徐暁峰, 三木恒夫, 石川純, 吉田静男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:臨床的にみて, 口呼吸常習者の前歯部には高度の歯肉炎が起こりやすく, その原因として, 粘膜の脱水乾燥や歯垢沈着の促進などが考えられるが, まだ十分には解明されていない. 我々はこれまで, 流体力学の手法を応用して口腔内気流の可視化模型実験を行ない, 前歯の傾斜や開口度, 被蓋関係などが気流に与える影響を明らかにしてきた. 今回の実験目的は, これらの知見をもとに, 口呼吸における口腔粘膜の脱水乾燥現象を部位別に定量し, 口腔内気流の速度分布との関連を解明することである. 実験には, ヒト矢状断面顎模型を風洞内に置いて吸気呼気, 状態を再現し, 模型表面各所に貼付した湿潤濾紙の重量変化を測定して部位別の蒸発量を求めた. 同時に, 定温度型熱線風速計を用いて気流の速度分布を求め, 蒸発量と比較した. その結果, 吸気時における蒸発がきわめて多かったのは上顎前歯舌面と口蓋側歯肉部で, 自然蒸発量の4~5倍に達した. これらの部位では気流速度も大きかった.
ISSN:0385-0110