歯周疾患の素因としての歯冠歯根比: 歯周疾患による抜去歯と解剖体からの抜去歯の歯冠歯根比の比較

歯周疾患の咬合性外傷の種々の素因として歯根の長さが短いことや, 臨床的に不利な歯冠歯根比, すなわち歯冠の長さに比べ歯根の長さが短いことなどが考えられる. すなわち, 歯冠歯根比が大きいことは咬合時に歯周組織に障害を与える起因となりうる. 先天的に歯の支持部位である歯根が短かったり, 後天的に歯槽骨の吸収により臨床的歯根が短くなると, 力学的に歯槽骨辺縁部には生理的許容範囲を超えた力が加わるようになり, 二次的に咬合性外傷が生ずる. すなわちこのような場合, 歯に側方力が加わると, 側方力は不適当なてこの因子として作用し, 日常の咀嚼力でさえ過度の破壊力に転機することが数々の成書に述べられてい...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本歯周病学会会誌 1979/03/28, Vol.21(1), pp.72-77
Hauptverfasser: 上原, 茂敬, 堀口, 令一, 近内, レイ子, 森山, 倫子, 堀内, 町子, 新井, 高, 中村, 治郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:歯周疾患の咬合性外傷の種々の素因として歯根の長さが短いことや, 臨床的に不利な歯冠歯根比, すなわち歯冠の長さに比べ歯根の長さが短いことなどが考えられる. すなわち, 歯冠歯根比が大きいことは咬合時に歯周組織に障害を与える起因となりうる. 先天的に歯の支持部位である歯根が短かったり, 後天的に歯槽骨の吸収により臨床的歯根が短くなると, 力学的に歯槽骨辺縁部には生理的許容範囲を超えた力が加わるようになり, 二次的に咬合性外傷が生ずる. すなわちこのような場合, 歯に側方力が加わると, 側方力は不適当なてこの因子として作用し, 日常の咀嚼力でさえ過度の破壊力に転機することが数々の成書に述べられている1, 2). したがって, 歯周疾患の治療の際に, 不利な歯冠歯根比を改善するために咬合調整や補綴処置等による歯冠形態修正, および, Endodontic-endosseousimplantを用いた動揺歯の固定などが試みられたりしている1,2,3). しかしながら, このような治療法を確立する一方, 歯冠歯根比の程度の差がどのように歯周疾患に影響を及ぼすのか明確にする必要があると思われる.
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.21.72