メラニン沈着とマスト細胞の分布について

われわれは, 歯周疾患々者歯肉のマスト細胞について, 昭和46年度みちのく歯学会, 第3回当学会例会において報告したほか, 実験動物における歯肉マスト細胞の動きについても第17回当学会総会において報告し, 光学顕微鏡レベルで観察したマスト細胞の多少は, 炎症性細胞浸潤の程度とは直接の関連性を有さないこと, 歯肉線維の増生に何らかの点で関与しているのではないかということなどを示唆した. マスト細胞は, 一般に外界に近接する部位の結合組織中に多くみられ, その原形質中にヘパリン, ヒスタミンなどの粗大顆粒を含有していると共に, 外来刺激や病変により異なった現われ方をとるためこれまでにも多くの検索が...

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Hauptverfasser: 油井孝雄, 菅原教修, 村上徳行, 隠明寺恒久, 千葉美知子, 上野和之
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:われわれは, 歯周疾患々者歯肉のマスト細胞について, 昭和46年度みちのく歯学会, 第3回当学会例会において報告したほか, 実験動物における歯肉マスト細胞の動きについても第17回当学会総会において報告し, 光学顕微鏡レベルで観察したマスト細胞の多少は, 炎症性細胞浸潤の程度とは直接の関連性を有さないこと, 歯肉線維の増生に何らかの点で関与しているのではないかということなどを示唆した. マスト細胞は, 一般に外界に近接する部位の結合組織中に多くみられ, その原形質中にヘパリン, ヒスタミンなどの粗大顆粒を含有していると共に, 外来刺激や病変により異なった現われ方をとるためこれまでにも多くの検索が試みられている. とくに近年では局所刺激などによる脱顆粒の問題や, 免疫グロブリンとの関連性などのほか, アジソン氏病のような色素沈着の著明なある種の疾患では, マスト細胞にメラニン色素を産生する能力があるのではないかという電顕的報告もみられる. われわれは今回, 歯肉におけるマスト細胞の出現頻度とメラニン沈着の間に何らかの関連性があるか否かを臨床的, ならびに組織学的に観察した. 症例は, 男46例, 女71例の計117例であり, 臨床的ならびに組織学的観察は, 上下顎前歯部歯肉について行った.
ISSN:0385-0110