根分岐部病変と歯髄疾患について

根分岐部病変の成因については, 外傷性咬合によるもの, 歯頸部エナメルプロジェクションによるもの, 辺縁性歯周炎の根分岐部への波及によるもの, 歯髄疾患から継発したものなど種々の報告がある. Seltzerらは臼歯部根分岐部付近の, 側枝及び髄管の存在と分岐部病変との関係を報告し, 又Rubachらは, 歯周疾患と側枝及び歯髄疾患について報告している. 更に三条らは, 根分岐部病変と健全歯, 根管処置歯等を比らべ, 根分岐部X線透過像との関係について報告している. 今回, 我々は, 特に根管処置歯と根分岐部病変について, 臨床的に研究を行ない若干の知見を得たので, 報告した. 日本大学松戸歯科大学付属歯科病院を訪れた患者のうち, 年令14才より63才までの男女19名, 下顎第一大臼歯及び第二大臼歯のうち, 根管処置歯25歯にっいて, 根分岐部X線透過像の認められる症例について, 検索した. 通法に従い, ラバーダム防湿下で, リーマー及びファイルにより器械的拡大を行ない, 根管内容物を除去し, 10％次亜塩素酸ナトリウム液, E. D. T. A. 液及び3％過酸化水素水により, 根管の清掃消毒を行ない, 根管充填用酸化亜鉛ユージノールセメント及びガッタパーチャポイントを用い根管の緊密な充填を行なった.