歯槽膿漏症の研究 第25報 ホルモン性歯肉炎患者の尿中総エストロゲン排泄量の動向

女性においては思春期, 妊娠時, 閉経期は勿論, 月経周期の各時期によりホルモンの分泌量が異ることは卵巣機能の面からもうかがい知ることが出来る. もし, これらの各時期におけるホルモンの分泌が正常域を脱したる場合は, 身体のそのホルモンに関連性を有する各組織において, 著しい代謝異常を起してくることは当然思考せられるところである. 近時, 口腔科学領域においても, 下垂体前葉-副腎皮質-卵巣系のホルモンとの関係が特に注目せられるようになり, これらのホルモンが歯周組織と密接な関係をもつことが指摘されているが, なお不明な点が多く, 疑問の余地を残している. そこで, 我々は, 若年者女性歯周組...

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Veröffentlicht in:日本歯槽膿漏学会会誌 1961, Vol.3 (1), p.17-17
Hauptverfasser: 松村敏治, 常光旭, 高田静治, 可児瑞夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:女性においては思春期, 妊娠時, 閉経期は勿論, 月経周期の各時期によりホルモンの分泌量が異ることは卵巣機能の面からもうかがい知ることが出来る. もし, これらの各時期におけるホルモンの分泌が正常域を脱したる場合は, 身体のそのホルモンに関連性を有する各組織において, 著しい代謝異常を起してくることは当然思考せられるところである. 近時, 口腔科学領域においても, 下垂体前葉-副腎皮質-卵巣系のホルモンとの関係が特に注目せられるようになり, これらのホルモンが歯周組織と密接な関係をもつことが指摘されているが, なお不明な点が多く, 疑問の余地を残している. そこで, 我々は, 若年者女性歯周組織疾患患者8名につき, 基礎体温型並びに周期的尿中総エストロゲン排泄量を調べ, 同年令層の健康対照者6名のそれと比較し, 次の結果を得た. 1. 本症患者の基礎体温型は, 7例中一相型4例, 不定型例で, 二相型が非常に少なかった. 2. 本症患者の尿中総エストロゲン排泄量は, 総括的に排泄量の減少傾向が認められた. 3. 本臨床的観察から本症患者には卵巣機能の低下する者が多いことを認め得た. 質問:日大歯学部生化学 滝口久 (1)エストロゲンの各patternを定めていただくともっと具体的な結果が得られると思います. (2)エストロゲンの減少は, β-cholestanolからα-cholestanolへ行くところがblockされているのではないかと思っています. 答 (1)エストロゲン分画については今後追究して行きたいと思っております. (2)エストロゲンの体内における合成はcholestanolからよりもむしろ醋酸からおこなわれているのではなかろうかと思います.
ISSN:0385-0110