歯槽膿漏症の研究(第17報)歯槽膿漏症患者のアセチル化能について
生体内である物質にアセチル基のつく反応は数多くあり, これは解毒機構の一種と見做されていた. その後解糖系において焦性ブドウ酸がTCAサイクルに入る時, CoAがサイオクト酸からアセチル基を受けてAcetyl CoAに転換されるものをはじめ, 生体内の諸種の代謝機構にアセチル化が重要な役割を演じていることは明らかである. 然るにAcetyl CoAそのものを定量することは極めて困難であるから, アセチル化反応にAcetyl CoAの関与が必須であることを応用し, 生体内にP-アミノ安息香酸(PABA)の如きアセチル基受容物質を投与してアセチル化率を測定すれば, その値は体内Acetyl CoA...
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Veröffentlicht in: | 日本歯槽膿漏学会会誌 1960, Vol.2 (1), p.8-8 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 生体内である物質にアセチル基のつく反応は数多くあり, これは解毒機構の一種と見做されていた. その後解糖系において焦性ブドウ酸がTCAサイクルに入る時, CoAがサイオクト酸からアセチル基を受けてAcetyl CoAに転換されるものをはじめ, 生体内の諸種の代謝機構にアセチル化が重要な役割を演じていることは明らかである. 然るにAcetyl CoAそのものを定量することは極めて困難であるから, アセチル化反応にAcetyl CoAの関与が必須であることを応用し, 生体内にP-アミノ安息香酸(PABA)の如きアセチル基受容物質を投与してアセチル化率を測定すれば, その値は体内Acetyl CoAの生成量と概ね平行することが考えられ, この測定法をアセチル化能と呼んでいる. 我々は過去数年来より歯槽膿漏症患者の体内物質代謝様相を検索し, 本症の臨床上悪性型には過クエン酸血症を伴つてTCAサイクルに軽度の酸化不全傾向のある事実を認め, Vitamin CとFeの潜在性欠乏から本症の発病機転を論じ既に諸学会に報告したが, 今回は歯槽膿漏症患者についてアセチル化能を測定した結果を報告する 実施方法:午後8時に被検者にPABA 0.5gを内服させ翌朝迄の12時間蓄尿させ, その一部をとつて総PABAと遊離PABAをBratton-Marshall法で測定した. ムアセチルPABA算定:アセチル化能(%)=アセチルPABA/総PABA-×100 アセチルPABA=総PABA-遊離PABA 成績:檜垣教授の分類に従い, 本症患者30名を良性型と悪性型に二大別, 健常対照者10名のアセチル化能とを比較した結果は次の如くなつた. 健常対照者33±4.6% 良性型膿漏者77±9.4% 悪性型膿漏者68±13.4% 総括:アセチル化能に及ぼす諸因子としてはThiamine, Riboflavin, Pantothenic acid等の欠乏, 組織ATP量の減少, その他種々のホルモンの関与が考えられるが, これらの諸因子の相互関係は兎も角として歯槽膿漏患者の中, 特に臨床上悪性型を示すものにアセチル化能が低下傾向を示す事実は興味ある問題である. |
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ISSN: | 0385-0110 |