口腔領域の深部におよぶ比較的大きな血管腫にKTPレーザーを応用した1例とその問題点
「緒言」血管腫の治療はこれまでさまざまな方法が試みられてきた1-16). しかしながら, 病変が深部におよぶ比較的大きな血管腫の治療法はいまだ確立されていないのが現状である. KTPレーザーは, 波長532nmの緑色可視光線であり, 優れた切開, 蒸散, 止血能力により, その有用性が報告されている. このレーザーはヘモグロビンによく吸収され, 水にはほとんど吸収されないという特徴をもつ. そのため血管腫の光凝固に適しているといわれている17-19). 近年, 本邦においても口腔領域の血管腫にKTPレーザーを用いた報告はみられるが, そのほとんどが表在性の小さいものである. 今回われわれは臼後...
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Veröffentlicht in: | 日本口腔科学会雑誌 2006-03, Vol.55 (2), p.130-133 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「緒言」血管腫の治療はこれまでさまざまな方法が試みられてきた1-16). しかしながら, 病変が深部におよぶ比較的大きな血管腫の治療法はいまだ確立されていないのが現状である. KTPレーザーは, 波長532nmの緑色可視光線であり, 優れた切開, 蒸散, 止血能力により, その有用性が報告されている. このレーザーはヘモグロビンによく吸収され, 水にはほとんど吸収されないという特徴をもつ. そのため血管腫の光凝固に適しているといわれている17-19). 近年, 本邦においても口腔領域の血管腫にKTPレーザーを用いた報告はみられるが, そのほとんどが表在性の小さいものである. 今回われわれは臼後部より頬粘膜にかけて発生し, 深部におよぶ比較的大きな血管腫に対してKTPレーザーを用い, 良好な結果を得たのでその概要を報告する. 症例 患者:47歳, 男性. 初診:2004年4月16日. 主訴:右側下顎歯肉腫脹. 既往歴:糖尿病. 1999年より経口血糖降下剤を服用している. 家族歴:特記事項なし. 現病歴:18年前に右頬粘膜に2か所の腫脹を認め, 他院で全身麻酔下にて切除術を受けた. 切除した病変は良性腫瘍と説明され, その後は症状なく経過していた. 今回, 近隣の歯科医院にて歯科治療中に右側下顎臼歯部の歯肉腫脹を指摘され, 袋井市民病院歯科口腔外科を紹介により受診した. 現症:全身所見;体格中等度で栄養状態は良好であった. 口腔内所見;右側下顎第2大臼歯の遠心歯肉に15mm径の腫脹を認めた. 表面は一部が暗紫色であり, 圧迫により退色変化を認めた. 頬粘膜は健常色であり, 腫脹はみられなかった(図1). MRI所見:右側下顎枝前方部, 咬筋の前内側部に40×20×15mmのT2強調像では比較的均一で著明な高信号を示す分葉状腫瘤を認めた(図2). 腫瘤はT1強調像では中等度信号であったが, 筋肉よりは少し強い信号強度であった. |
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ISSN: | 0029-0297 |
DOI: | 10.11277/stomatology1952.55.130 |