顎骨内に発生した孤立性神経線維腫の1例

「緒言」神経線維腫は末梢神経由来の腫瘍であり, 皮下および粘膜下組織に発生し, 多発性に生じる神経線維腫症のvon Reckling hausen病として発症するものと, 孤立性に発症するものがある. 顎骨内に発症する神経組織の腫瘍には, 神経線維腫と神経鞘腫があるが前者は後者に比べ非常にまれとされている1). 今回われわれは下顎骨体部に発症した孤立性神経線維腫の1例を経験したので, その概要と文献的考察を含めて報告する. 症例 患者:35歳, 女性. 主訴:下顎左側の精査希望. 既往歴:20歳時に虫垂炎と卵巣嚢腫にて手術. 現在, 貧血と子宮筋腫にて薬物療法中. 家族歴:父親は肝癌にて死亡....

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2006-01, Vol.55 (1), p.48-51
Hauptverfasser: 栃原しほみ, 佐藤千佳, 佐藤徹, 浅田洸一, 石橋克禮
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」神経線維腫は末梢神経由来の腫瘍であり, 皮下および粘膜下組織に発生し, 多発性に生じる神経線維腫症のvon Reckling hausen病として発症するものと, 孤立性に発症するものがある. 顎骨内に発症する神経組織の腫瘍には, 神経線維腫と神経鞘腫があるが前者は後者に比べ非常にまれとされている1). 今回われわれは下顎骨体部に発症した孤立性神経線維腫の1例を経験したので, その概要と文献的考察を含めて報告する. 症例 患者:35歳, 女性. 主訴:下顎左側の精査希望. 既往歴:20歳時に虫垂炎と卵巣嚢腫にて手術. 現在, 貧血と子宮筋腫にて薬物療法中. 家族歴:父親は肝癌にて死亡. 母親は高血圧. 現病歴:近歯科医に治療のため受診したところ, X線写真で下顎左側小臼歯部の透過像を指摘され, 精査を勧められ当科に紹介来院した. 現症:口腔外所見:皮膚は正常皮膚色でメラニン色素斑は認められず, 全身所見および口腔外所見に特記すべき事項はなかった. 口腔内所見:左下顎には中切歯から第二大臼歯までが正常に萌出しており, 電気歯髄診ではすべて陽性で, 打診痛や動揺も認められなかった. また, 同部には骨膨隆や粘膜の異常は認められず, 自発痛や誘発痛もなかった. オトガイ神経支配領域の知覚に異常はなかった. X線写真所見:下顎左側切歯より第二小臼歯相当の骨体部に, 下顎下縁に達する不整形の境界明瞭な単胞性透過像が存在した.
ISSN:0029-0297
DOI:10.11277/stomatology1952.55.48