2-G-11-1 舌根部粘表皮癌と甲状舌管嚢胞を同時に認めた1例

今回われわれは舌根部粘表皮癌と甲状舌管嚢胞を同時に認めた1例を経験したので, その概要を報告する. 症例:63歳, 男性. 初診:2004年5月25日. 既往歴:高血圧症, 糖尿病, 統合性失調症, うつ病. 家族歴:特記すべき事項なし. 現病歴:2004年5月頃に左側舌根部の腫瘤に気付き, 当科を紹介され受診した. 現症:左側舌根部に無痛性, 弾性硬で, 約20mm大の類円形の腫瘤を認めたが周囲に硬結はなく, 所属顎下リンパ節は小豆大, 可動性であった. 画像所見:CTでは同部に境界不明瞭で約20mm大の病変が見られた. MRIでは, T1で低信号, T2で高信号を呈していた. またCT,...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2005, Vol.54 (4), p.565-565
Hauptverfasser: 高山啓禎, 野村城二, 松村佳彦, 木下真千子, 桃井しのぶ, 長井講有, 田川俊郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:今回われわれは舌根部粘表皮癌と甲状舌管嚢胞を同時に認めた1例を経験したので, その概要を報告する. 症例:63歳, 男性. 初診:2004年5月25日. 既往歴:高血圧症, 糖尿病, 統合性失調症, うつ病. 家族歴:特記すべき事項なし. 現病歴:2004年5月頃に左側舌根部の腫瘤に気付き, 当科を紹介され受診した. 現症:左側舌根部に無痛性, 弾性硬で, 約20mm大の類円形の腫瘤を認めたが周囲に硬結はなく, 所属顎下リンパ節は小豆大, 可動性であった. 画像所見:CTでは同部に境界不明瞭で約20mm大の病変が見られた. MRIでは, T1で低信号, T2で高信号を呈していた. またCT, MRIともに舌骨付近に嚢胞様像を認めたが, 舌根部病変との連続性はなかった. ガリウムおよびテクネシウムシンチグラム, ポジトロン撮影(PET)では, 舌根部および舌骨上部腫瘤に明らかな集積はなく, 他にも異常集積像はなかった. 処置および経過:画像診断等で腫瘤の悪性を示唆する所見が乏しかったため, 全摘生検術を行った. 生検の結果, 舌根部の腫瘤は粘表皮癌であり, 画像診断生検術の所見よりT3N0と診断した. 9月3日, 腫瘍周囲組織摘出術, 予防的左側頸部郭清術, 同時に舌骨上部腫瘤摘出術を施行した. 病理組織学的所見:腫瘍は上皮下から筋内に浸潤, 増生し, 腫瘍細胞は, 管状構造を呈し, 細胞質内に粘液を貯留する杯様細胞と扁平上皮細胞による二層性を示していた. また, 核は比較的均一で軽度の腫大を示すが多形性や分裂像はほとんどなく, 高分化型粘表皮癌と診断した. また, 同時に摘出した舌骨上部腫瘤は薄い被膜で覆われ, 内部に粘液性淡白色の内容液を含み, 嚢胞壁は角化を伴わない重層扁平上皮, 導管上皮, 筋組織より成り, 甲状舌管嚢胞と診断した. 嚢胞壁組織中に腫瘍細胞の浸潤はなく, 腫瘍との関連性を示唆する所見はなかった. 術後2か月を経過した現在, 再発を認めず経過良好である.
ISSN:0029-0297