2-G-7-5 多量のセメント質を形成した成熟型の巣状セメント質骨異形成症と考えられた1例

非腫瘍性セメント質増殖性病変はWHO分類により, 1)根尖性セメント質異形成症, 2)開花性セメント質骨異形成症, 3)その他のセメント質骨異形成症に分類されている. しかし, 3)は, 記載から病変の本体が明らかでなく, 未だ明確にされていない. われわれは, 47歳, 女性の右側上顎小臼歯部に発生し多量のセメント質増殖を認め, Summerlinらが報告した巣状セメント質骨異形成症の成熟型と考えられた1例を経験したので報告する. 患者は約15年前に右側上顎第1小臼歯の抜歯既往を持つ. 約10年前から右側鼻翼部から頬部にかけての腫脹を自覚したが, 無症状のため放置していた. 最近, 某歯科を...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2005, Vol.54 (4), p.559-559
Hauptverfasser: 原田大輔, 長谷川光晴, 田中博, 奥田八重子, 秀真理子, 清水治, 松本光彦, 松本直行, 小宮山一雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:非腫瘍性セメント質増殖性病変はWHO分類により, 1)根尖性セメント質異形成症, 2)開花性セメント質骨異形成症, 3)その他のセメント質骨異形成症に分類されている. しかし, 3)は, 記載から病変の本体が明らかでなく, 未だ明確にされていない. われわれは, 47歳, 女性の右側上顎小臼歯部に発生し多量のセメント質増殖を認め, Summerlinらが報告した巣状セメント質骨異形成症の成熟型と考えられた1例を経験したので報告する. 患者は約15年前に右側上顎第1小臼歯の抜歯既往を持つ. 約10年前から右側鼻翼部から頬部にかけての腫脹を自覚したが, 無症状のため放置していた. 最近, 某歯科を受診した際, 同部の腫脹を指摘され, 精査を目的に当科へ来院した. 既往歴に特記事項はない. 口腔内には, 右側上顎犬歯から第2小臼歯に至る頬側歯槽部に24×14×6mm大の丘状の骨様硬の膨隆が認められた. 同部の被覆粘膜の色調に変化なく, 犬歯および右側上顎第2小臼歯は生活歯で動揺も認めなかった. パノラマX線写真およびCTX線写真で, 右側上顎第1小臼歯相当部の顎骨内にX線透過像と不規則な塊状の不透過像が混在する病変を認めた. 病変は歯槽から上方は上顎洞, 梨状孔に近接して存在していた. セメント質骨形成性線維腫の臨床診断のもと犬歯を含め摘出術を施行した. 摘出標本の病理組織像で, 病変は犬歯歯根と連続性を認めず, 主として塊状のセメント質様硬組織が多量に形成され, 周囲の骨組織とは連続性を認めなかった. 硬組織の周辺部では線維骨様あるいは線維セメント質の形態を示していた. 一部腐骨化している部も見られた. 周囲軟組織は少量で細胞密度の高い部と, 著明な炎症細胞浸潤を認める部が混在していた. セメント質骨形成性病変は病期により, 組織像は変遷することが知られている. 本例の様な病変の存在から, 非腫瘍性セメント質増殖病変のさらなる検討が望まれる.
ISSN:0029-0297