2-G-4-2 先天性下唇瘻を合併した口唇口蓋裂の1例

口唇口蓋裂は比較的発症頻度の高い先天性疾患のひとつであるが, 病態により合併奇形も多様である. 日本人における口唇口蓋裂全体のうち, 下唇瘻を合併する率は0.5%程度といわれている. それらは一般に, 胎生4週から始まる顎顔面の発生メカニズムと深い関係がある. 今回われわれは下唇瘻を合併し, さらに顎裂間に索状組織の介在を認めた口唇口蓋裂の1例を経験したので, 文献的考察を加えその概要を報告する. 患者は生後1日目女児. 2004年1月, 小牧市民病院産婦人科にて満期自然分娩で出生, 体重3346g, 身長49cm, 頭囲33cm, アプガースコア9点. 出生時より口唇および口蓋の形態異常を認...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2005, Vol.54 (4), p.551-552
Hauptverfasser: 萩原純孝, 山家誠, 八十川竜洋, 藤武智, 渡邊和代, 藤内祝, 上田実
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:口唇口蓋裂は比較的発症頻度の高い先天性疾患のひとつであるが, 病態により合併奇形も多様である. 日本人における口唇口蓋裂全体のうち, 下唇瘻を合併する率は0.5%程度といわれている. それらは一般に, 胎生4週から始まる顎顔面の発生メカニズムと深い関係がある. 今回われわれは下唇瘻を合併し, さらに顎裂間に索状組織の介在を認めた口唇口蓋裂の1例を経験したので, 文献的考察を加えその概要を報告する. 患者は生後1日目女児. 2004年1月, 小牧市民病院産婦人科にて満期自然分娩で出生, 体重3346g, 身長49cm, 頭囲33cm, アプガースコア9点. 出生時より口唇および口蓋の形態異常を認めたため, 当院小児科より当科紹介受診となった. 家族歴に特記事項認めず. 口腔外所見は, 左上唇から左鼻孔へいたる完全唇裂, および下唇正中に大小2つの小窩を認め, 裂側のものが周囲膨隆をともない著明であった. 口腔内所見では, 唇裂から連続し口蓋へいたる幅22mmの顎裂を認め, 顎裂前方の顎堤間には幅8mm直径約1mmの索状組織が介在していた. 左側口唇口蓋裂および先天性両側性下唇瘻の診断にて, Hotz床製作および治療計画の立案を開始した. Hotz床装着後, 哺乳は良好. 生後1か月半時に当院形成外科にて上唇閉鎖術施行. 以後もHotz床調整を繰り返し, 下唇瘻の著明化を認めるものの顎裂は狭小化した. 生後10か月現在, 体重9800g, 発育良好である. 今後も口蓋閉鎖鼻口唇修正および下唇瘻切除など, 他科との連携のもと加療を継続予定である.
ISSN:0029-0297