2-C-1-1 下顎頭に認められるbone marrow edema-顎関節症の保存療法後の変化

[目的] bone marrow edema(BME)は骨髄がびまん性にT1強調像で低信号, T2強調像で高信号を示す所見を指し, その多くは関節近傍に生じるとされる. 最近, 膝関節や顎関節を対象にした横断的研究から関節痛とBMEに関連があることが報告され, BMEが関節痛の原因である可能性が示唆されている. しかし, BMEと関節痛の関連を縦断的に検討した報告は非常に少ない. そこで本研究は, 保存療法によって顎関節症状が改善することで下顎頭のBMEがどのように変化するかを明らかにし, BMEの病態について検討することを目的とした. [対象と方法] 対象は, 1)治療前MRI(1.5T)で...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2005, Vol.54 (4), p.538-538
Hauptverfasser: 千葉雅俊, 福井功政, 渡部典久, 枝松満, 熊谷正浩, 越後成志
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:[目的] bone marrow edema(BME)は骨髄がびまん性にT1強調像で低信号, T2強調像で高信号を示す所見を指し, その多くは関節近傍に生じるとされる. 最近, 膝関節や顎関節を対象にした横断的研究から関節痛とBMEに関連があることが報告され, BMEが関節痛の原因である可能性が示唆されている. しかし, BMEと関節痛の関連を縦断的に検討した報告は非常に少ない. そこで本研究は, 保存療法によって顎関節症状が改善することで下顎頭のBMEがどのように変化するかを明らかにし, BMEの病態について検討することを目的とした. [対象と方法] 対象は, 1)治療前MRI(1.5T)で下顎頭骨髄にBMEを認めたこと, 2)治療前, 関節痛があったこと, 3)治療前MRIを撮像後, 半年以上経過して再度MRIを撮像したこと, 4)保存療法(薬物療法やスプリント療法)を施行し, 関節痛と開口量が改善した症例であることの4条件を満たす9症例9関節である. 対象の年齢は24-60歳, 性別は女性8例, 男性1例であった. 治療前MRIで全関節に復位を伴わない関節円板転位を, 7関節に骨変形を認めた. 下顎頭骨髄の評価はT1強調像またはプロトン密度強調像で低信号化, 脂肪抑制T2強調像(T2SPIR)で高信号を示した場合をBMEとした. 治療後の下顎頭骨髄の信号は, 正常化(T2SPIRで低信号化した), 部分的改善(治療前にT2SPIRで認めた高信号域が縮小および信号強度が低下した), 不変に分類した. [結果] 治療後のMRIで, 下顎頭骨髄の信号が正常化したのは5関節, 部分的改善は3関節, 不変は1関節であった. 1関節で下顎頭関節面直下に骨嚢胞の形成を認めたが骨壊死を示す所見は認めなかった. [結論] 保存治療で症状が改善するのに伴って下顎頭のBMEは消失または縮小する傾向を認めたことから, BMEの一部は関節痛の原因であり, その変化は可逆的である可能性が示唆された.
ISSN:0029-0297