2-CM-3-5 高度な線維性癒着を伴う顎関節症に対する外科的療法後の開口距離の変化について
[目的] 顎関節円板非復位性円板前方転位症例に対し低侵襲に開口障害を改善させる手段としてパンピングマニピュレーションが挙げられるも, 顎関節腔内の線維性癒着が高度なため開口障害が改善されず, 外科的療法に移行する例がある. そこで今回, 術後の対応を考えるべく, 顎関節鏡視下剥離授動術と顎関節開放剥離授動術施行後の開口距離推移を観察した. [対象および方法] 1997年11月から2003年3月31日までに大阪歯科大学口腔外科学第二講座を受診し, 顎関節部MR画像検査で非復位性円板前方転位と診断されパンピングマニピュレーションを施行するも奏効せず, 造影CT検査で顎関節腔内線維性癒着を確認した顎...
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Veröffentlicht in: | 日本口腔科学会雑誌 2005, Vol.54 (4), p.499-500 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | [目的] 顎関節円板非復位性円板前方転位症例に対し低侵襲に開口障害を改善させる手段としてパンピングマニピュレーションが挙げられるも, 顎関節腔内の線維性癒着が高度なため開口障害が改善されず, 外科的療法に移行する例がある. そこで今回, 術後の対応を考えるべく, 顎関節鏡視下剥離授動術と顎関節開放剥離授動術施行後の開口距離推移を観察した. [対象および方法] 1997年11月から2003年3月31日までに大阪歯科大学口腔外科学第二講座を受診し, 顎関節部MR画像検査で非復位性円板前方転位と診断されパンピングマニピュレーションを施行するも奏効せず, 造影CT検査で顎関節腔内線維性癒着を確認した顎関節症に対して顎関節鏡視下剥離授動術あるいは顎関節開放剥離授動術を行い, 術後3か月以上の経過観察が可能であった34例(23歳-64歳, 平均年齢42.2±13.6歳)の開口距離推移について観察した. [結果] 高度な線維性癒着を伴う顎関節症の診断のもと外科的療法施行後の開口距離推移を観察したところ, 術後3週目までは開口距離の増加傾向が認められ, また術後3か月間において, 術後1か月, 2か月, および術後3か月に35mm以上が保たれたのは34例中32例(94.1%)であり, 34例中2例(5.9%)は術後35mm未満であったものの, 内1例は術後9か月目で35mmとなった. [まとめ] 開口距離推移より, 増加傾向が認められた術後3週間の開口訓練を中心とした経過観察は必要であると考えられ, また術後1か月以降では開口距離変化があまり認められなかったことより症状安定期となることが考えられた. 一方, 開口障害の改善率から, 顎関節円板非復位性円板前方転位症例に対してパンピングマニピュレーションが顎関節腔内の線維性癒着が強く奏効しない場合, 顎関節鏡視下剥離授動術ならびに顎関節開放剥離授動術の有用性が考えられた. |
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ISSN: | 0029-0297 |