2-CM-1-4 顎関節滑液中に存在する線維芽細胞様細胞における分子細胞生物学的解析

[目的] われわれは, 顎関節滑液中細胞より破骨細胞を誘導し, 関節局所での関節破壊の可能性について報告してきた. そのメカニズムの詳細を検討する目的で顎関節滑液中細胞から得られる培養線維芽細胞様細胞の骨代謝能に対する影響を分子細胞生物学的に解析を行った. [対象] 治療目的に顎関節洗浄療法を行い, 滑液中より細胞を単離, 培養し得た, 7例8関節(男性3例, 女性4例, 平均年齢42.9歳). [方法] 滑液は関節洗浄療法(10回希釈法)により採取し, 得られた細胞を10%FCS加α-MEM中で培養し, 増殖してくる付着細胞を継代培養し実験に用いた. 免疫染色にて表現型を, Western...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2005, Vol.54 (4), p.496-496
Hauptverfasser: 高野裕史, 有吉渉, 管野貴浩, 一宮久之, 又吉誉章, 高橋哲
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:[目的] われわれは, 顎関節滑液中細胞より破骨細胞を誘導し, 関節局所での関節破壊の可能性について報告してきた. そのメカニズムの詳細を検討する目的で顎関節滑液中細胞から得られる培養線維芽細胞様細胞の骨代謝能に対する影響を分子細胞生物学的に解析を行った. [対象] 治療目的に顎関節洗浄療法を行い, 滑液中より細胞を単離, 培養し得た, 7例8関節(男性3例, 女性4例, 平均年齢42.9歳). [方法] 滑液は関節洗浄療法(10回希釈法)により採取し, 得られた細胞を10%FCS加α-MEM中で培養し, 増殖してくる付着細胞を継代培養し実験に用いた. 免疫染色にて表現型を, Western blotting法にてRANKL蛋白の発現を確認した. また, 健常人末梢血より単離した単球との共培養(2ng/ml rhM-CSF, 10-8M 1, 25-(OH) 2D3または200ng/ml rhM-CSF, 100ng/ml rhRANKL添加)により破骨細胞の誘導をおこなった. [結果] 全例で免疫染色にて線維芽細胞マーカー, ビメンチン陽性, マクロファージ, 樹状細胞陰性であった. 単球との共培養ではTRAP陽性の多核細胞の形成が多数認められ, 象牙切片上で吸収窩を形成した. また, RANKL蛋自の発現が認められ, 破骨細胞形成支持能を有することが明らかとなった. [考察および結論] 顎関節滑液中には破骨細胞前駆細胞のみでなく, 滑膜細胞と同様の特徴を持つ破骨細胞形成支持細胞が存在することが明らかとなり, 顎関節疾患の病態形成や骨変形, リモデリング等に関与しうる可能性が示唆された.
ISSN:0029-0297