18. 顎下腺悪性腫瘍を疑った顎下部放線菌症の1例

放線菌症は顎口腔領域に好発する特異性炎で, 咬筋部の板状硬結, 多発性小膿瘍, 強度の開口障害を臨床症状の特徴とするが, 最近では定型的な症状を示さず診断に苦慮する症例もみられる. 今回われわれは定型的な症状がなく炎症症状が軽微で, 臨床所見, 画像所見等から顎下腺悪性腫瘍を疑わせた顎下部放線菌症の1例を経験した. 患者は56歳男性で左側顎下部の腫脹を主訴に2004年10月31日来院. 初診時左側顎下部にφ60×45mm大, 弾性硬の腫瘤を認めた. 臨床検査にて炎症所見は軽度で, 画像所見より顎下腺悪性腫瘍が疑われた. 全麻下腫瘍切除術を予定したが, 術式確定のために11月18日生検施行したと...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2005, Vol.54 (3), p.390-390
Hauptverfasser: 尾崎暁子, 道澤雅裕, 岩井聡一, 中澤光博
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:放線菌症は顎口腔領域に好発する特異性炎で, 咬筋部の板状硬結, 多発性小膿瘍, 強度の開口障害を臨床症状の特徴とするが, 最近では定型的な症状を示さず診断に苦慮する症例もみられる. 今回われわれは定型的な症状がなく炎症症状が軽微で, 臨床所見, 画像所見等から顎下腺悪性腫瘍を疑わせた顎下部放線菌症の1例を経験した. 患者は56歳男性で左側顎下部の腫脹を主訴に2004年10月31日来院. 初診時左側顎下部にφ60×45mm大, 弾性硬の腫瘤を認めた. 臨床検査にて炎症所見は軽度で, 画像所見より顎下腺悪性腫瘍が疑われた. 全麻下腫瘍切除術を予定したが, 術式確定のために11月18日生検施行したところ, 腫瘍細胞は認めず放線菌の菌塊を確認したため, 顎下部放線菌症の確定診断を得た. そこで消炎療法を行ったところ腫瘤は消失, 以後再発なく経過良好である. 以上より腫瘍性病変との鑑別に放線菌症などの特異性炎も考慮する必要があると思われた.
ISSN:0029-0297