9. 耳下腺に生じた神経鞘腫の1例

患者は58歳男性, 開口障害を主訴に某歯科を受診し, 原因として右側耳下腺部の腫瘤が疑われ, 精査を目的に当科へ紹介来院した. 初診時, 患者は開口量24mmで, 開口時に両側顎関節痛を訴えた. 右側耳下腺部に24×16mmの弾性硬の腫瘤を触知し, 圧痛を認めた. 腫瘤はCT像で境界明瞭な低濃度の陰影を示し, MRIではT1強調画像で低信号を, T2強調画像で高信号を示し, 臨床的に右側耳下腺多形性腺腫と診断した. さらに, MRIで右側関節円板の前方転位および下顎頭の変形を認め, 顎関節症IV型と診断した. 治療は上記臨床診断の下, 右側耳下腺浅葉部分切除による腫瘍切除術を施行した. 顎関節...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2005, Vol.54 (2), p.294-295
Hauptverfasser: 大場弘育, 宇那木利英子, 生木俊輔, 大木秀郎, 松本光彦, 原田大輔, 三木裕香子, 長谷川光晴, 田中博, 松本直行, 小宮山一雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:患者は58歳男性, 開口障害を主訴に某歯科を受診し, 原因として右側耳下腺部の腫瘤が疑われ, 精査を目的に当科へ紹介来院した. 初診時, 患者は開口量24mmで, 開口時に両側顎関節痛を訴えた. 右側耳下腺部に24×16mmの弾性硬の腫瘤を触知し, 圧痛を認めた. 腫瘤はCT像で境界明瞭な低濃度の陰影を示し, MRIではT1強調画像で低信号を, T2強調画像で高信号を示し, 臨床的に右側耳下腺多形性腺腫と診断した. さらに, MRIで右側関節円板の前方転位および下顎頭の変形を認め, 顎関節症IV型と診断した. 治療は上記臨床診断の下, 右側耳下腺浅葉部分切除による腫瘍切除術を施行した. 顎関節症については保存的治療を行った. 摘出腫瘤は病理組織学的に, 神経鞘腫と診断された. 本症例は, 強い開障害を伴った顎関節症と, 無症状に経過した耳下腺部の稀な神経鞘腫の合併症例であった.
ISSN:0029-0297