1-J-5-3 上顎左側第二大臼歯根尖部より連続し上顎洞内に認められた埋伏歯の1例

(緒言)口腔外科臨床において歯の位置異常や埋伏歯を経験することは多い. 異所性埋伏歯の多くは下顎枝に認められ, 上顎洞内の埋伏歯は稀である. 今回われわれは上顎左側第二大臼歯根尖部より瘻管状に骨を形成しつつ上顎洞内に存在した埋伏歯の1例を経験したのでその概要を報告する. (症例)患者は48歳, 女性. 平成15年2月17日 |7部の腫脹, 疼痛を主訴に来科した. 初診時, 左側頬部の軽度腫脹を認め, |7の動揺, 歯肉腫脹, 圧痛を認めた. オルソパントモ写真にて|7より上顎洞内に連続した透過像と, 歯冠を上方へ向けた埋伏歯を認めた. CT画像において上顎洞内に瘻管状に骨を形成しつつ後上方へ歯...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2005, Vol.54 (1), p.191-192
Hauptverfasser: 横井 共, 水野 進, 黒岩裕一朗, 石原茂人, 江本 元, 山本浩司, 前田早苗
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:(緒言)口腔外科臨床において歯の位置異常や埋伏歯を経験することは多い. 異所性埋伏歯の多くは下顎枝に認められ, 上顎洞内の埋伏歯は稀である. 今回われわれは上顎左側第二大臼歯根尖部より瘻管状に骨を形成しつつ上顎洞内に存在した埋伏歯の1例を経験したのでその概要を報告する. (症例)患者は48歳, 女性. 平成15年2月17日 |7部の腫脹, 疼痛を主訴に来科した. 初診時, 左側頬部の軽度腫脹を認め, |7の動揺, 歯肉腫脹, 圧痛を認めた. オルソパントモ写真にて|7より上顎洞内に連続した透過像と, 歯冠を上方へ向けた埋伏歯を認めた. CT画像において上顎洞内に瘻管状に骨を形成しつつ後上方へ歯冠を向けた埋伏歯を認めた. (処置および経過)平成15年4月17日, 全身麻酔下に|7 , 埋伏歯抜歯術および瘻管状物切除術を施行した. |7より上顎洞内に瘻管状に後上方へ形成された骨は, 歯冠を上方へ向けた埋伏歯を内包していた. 骨の内面は一層の軟組織を認め, 外面は上顎洞粘膜で被覆されていた. (病理組織学的所見)摘出した軟組織は扁平上皮に裏打ちされ, 上皮下には炎症性細胞浸潤をみとめた. (考察)上顎洞内の埋伏歯は智歯が多く, 原因として『嚢胞による上顎洞部への押し上げ』と『歯胚の翻転による異所性萌出』とに大別される. 本症例は, |7部より瘻管状に硬組織と軟組織に被覆されて埋伏歯が存在した稀有なる症例と思われた.
ISSN:0029-0297