2-H-5-2 口蓋に発生したPolymorphous low-grade adenocarcinoma(PLGA)の1例
今回我々は口蓋に発生したPolymorphous low-grade adenocarcinoma(PLGA)に対して腫瘍切除術を施行し, 経過良好な1例を経験した. 症例は, 72歳女性. 右口蓋から軟口蓋にかけて35×39×23mm弾性硬, 無痛性で境界比較的明瞭な膨隆を認めた. CTでは右上顎に辺縁正, 内部エコーやや不均一な腫瘍陰影を, MRIではT1強調画像で低信号T2強調画像で高信号を示し, ガリウムおよびテクネシウムシンチグラムで右口蓋部に異常集積を認めた. 生検の結果, 粘表皮癌や腺癌が疑われたものの確定診断がえられず, 唾液腺悪性腫瘍の診断のもと, 2002年10月2日全身麻...
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Veröffentlicht in: | 日本口腔科学会雑誌 2005, Vol.54 (1), p.170-170 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 今回我々は口蓋に発生したPolymorphous low-grade adenocarcinoma(PLGA)に対して腫瘍切除術を施行し, 経過良好な1例を経験した. 症例は, 72歳女性. 右口蓋から軟口蓋にかけて35×39×23mm弾性硬, 無痛性で境界比較的明瞭な膨隆を認めた. CTでは右上顎に辺縁正, 内部エコーやや不均一な腫瘍陰影を, MRIではT1強調画像で低信号T2強調画像で高信号を示し, ガリウムおよびテクネシウムシンチグラムで右口蓋部に異常集積を認めた. 生検の結果, 粘表皮癌や腺癌が疑われたものの確定診断がえられず, 唾液腺悪性腫瘍の診断のもと, 2002年10月2日全身麻酔下に, 上顎骨部分切除術を施行した. 摘出物の病理組織学的所見は, H-E染色では, 主として筋上皮細胞由来で原形質の明るい細胞が充実性に増殖を示す部分からなり, また2相性の腺管様構造も認められたため, 当初上皮筋上皮癌と診断した. しかし, 明細胞以外にも紡錘形を呈し, 肉腫様配列を示す部分もみられたことや単層性の腺管様構造の方が多数を占めたこと, 免疫組織所見で, 腫瘍細胞の大多数にS-100, ビメンチン, ケラチンのびまん性の陽性反応と, EMAで一部陽性であったことなどから最終的にPLGAと診断した. 術後1年7か月経過した現在経過良好で, 局所再発, 遠隔転位などは認めていないが, 今後も厳重な経過観察を行う予定である. 我々が渉猟しえた本邦での報告例は本症例を含めて18例, 男女比は1:1, 平均年齢は65.3歳であった. 好発部位は小唾液腺で, 口蓋が半数を占めていた. 治療法はすべての症例に腫瘍切除術がなされていたが, 再発, 転移も報告されており外科的切除に対しては十分な安全域を確保すること, またその後の厳重なフォローアップが必要と思われた. |
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ISSN: | 0029-0297 |