2-H-3-3 組織型の異なる両側異時性上顎癌の1例
今回, 演者らは左上顎扁平上皮癌術の治療16年後に, 右上顎に粘表皮癌を発症した例を経験したので報告する. 患者は69歳男性で, 既往歴として1987年左上顎腫瘍(T3N0M0, 扁平上皮癌)の診断のもと, 当院にて4月13日~5月14日60Co 50.4Gy/16f, 4月23日口内法による上顎骨部分切除術が施行されていた. 6月に左頬部に再発を認め, 7月2日腫瘍切除術を行い, その後は再発なく経過していた. 2002年11月頃より右頬部に腫脹およびしびれを自覚し, 紹介により2003年1月28日当科初診した. 右頬部を中心にび漫性の腫脹と右上顎歯肉頬移行部から頬粘膜にかけて硬結を認めた....
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Veröffentlicht in: | 日本口腔科学会雑誌 2005, Vol.54 (1), p.168-168 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 今回, 演者らは左上顎扁平上皮癌術の治療16年後に, 右上顎に粘表皮癌を発症した例を経験したので報告する. 患者は69歳男性で, 既往歴として1987年左上顎腫瘍(T3N0M0, 扁平上皮癌)の診断のもと, 当院にて4月13日~5月14日60Co 50.4Gy/16f, 4月23日口内法による上顎骨部分切除術が施行されていた. 6月に左頬部に再発を認め, 7月2日腫瘍切除術を行い, その後は再発なく経過していた. 2002年11月頃より右頬部に腫脹およびしびれを自覚し, 紹介により2003年1月28日当科初診した. 右頬部を中心にび漫性の腫脹と右上顎歯肉頬移行部から頬粘膜にかけて硬結を認めた. 生検を施行し, 癌細胞は円柱から立方状を早し, 一部にtubular~ductalな構造が見られた. 免疫染色では, 扁平上皮細胞に発現するサイトケラチン6は弱陽性, 腺系細胞で発現がみられるサイトケラチン7は陽性であり, 癌細胞の一部の胞体内にムチカルミン陽性の粘液が確認され, 粘表皮癌の診断を得た. 40Gy/20f(TXT 18mg×3, CDDP7.2mg×10併用)による術前化学放射線療法を施行し, 4月15日右上顎腫瘍切除術, 遊離腹直筋皮弁による口腔再建術を施行し, 現在外来にて経過観察中である. 今回演者らが文献を渉猟した範囲では, 本邦における両側上顎癌は, 和田(1937)以来, 72例の報告がある. 第1, 第2癌の発生時期で同時性は10例(18.5%), 1年以内10例(18.5%), 5年以内9例(16.7%), 5年以上25例(46.3%)であった. 両側上顎癌の組織型に関し, 組織型の不明例6例を除く, 66例中, 組織型が両側同一症例は55例あり, このうち52例(94.5%)が扁平上皮癌であった. 両側不一致は11例であった. 第1癌が扁平上皮癌で第2癌が粘表皮癌は2例目であった. 第2癌に関しては, 放射線誘発癌の可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0029-0297 |