2-F-5-1 当科における顎骨骨髄炎の臨床的検討

近年抗生物質の発達により, 顎骨骨髄炎の典型症例は減少の傾向にあるとされている. しかし本症は依然として難治性の疾患でありその検討を加えることは意義がある. そこで演者らは, 平成9年から平成15年までの6年間に当科を受診し顎骨骨髄炎の診断を得た24例について臨床統計的検討を行ったので若干の文献的考察を加え報告する. 性別は男性10例, 女性14例で, 年齢は35~85歳にわたり, 平均57.6歳であった. 初診時に, ワンサン症状を8例, 弓倉氏症状を5例に認めた. 松本らの分類を参考に病態をI型(病変が1から2歯に限局), II型(病変が3歯以上だが骨体部に限局), III型(病変が半側以...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2005, Vol.54 (1), p.137-137
Hauptverfasser: 村越祐子, 森 一将, 中丸行也, 正田久直, 田島 徹, 龍田恒康, 竹島 浩, 嶋田 淳, 安井利一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年抗生物質の発達により, 顎骨骨髄炎の典型症例は減少の傾向にあるとされている. しかし本症は依然として難治性の疾患でありその検討を加えることは意義がある. そこで演者らは, 平成9年から平成15年までの6年間に当科を受診し顎骨骨髄炎の診断を得た24例について臨床統計的検討を行ったので若干の文献的考察を加え報告する. 性別は男性10例, 女性14例で, 年齢は35~85歳にわたり, 平均57.6歳であった. 初診時に, ワンサン症状を8例, 弓倉氏症状を5例に認めた. 松本らの分類を参考に病態をI型(病変が1から2歯に限局), II型(病変が3歯以上だが骨体部に限局), III型(病変が半側以上または下顎枝に及ぶ)の3型に分類し, 病変範囲と行われた処置について検討を行った. I型は7例で, 消炎療法のみ1例, 加えて抜歯, 掻爬を行ったものが4例, 腐骨除去も行ったものが2例あった. II型は, 11例で消炎療法, 抜歯, 掻爬を行ったものは1例, 腐骨除去も行ったものが, 10例であった. また, 再燃を認めた予後不良例が3例あった. III型は6例で, 消炎療法, 抜歯, 掻爬, 腐骨除去を行ったものが4例, 皮質骨除去も行ったものが2例であった. 予後不良症例を3例認めた. 病変がII, III型に及ぶ症例のほとんどに腐骨を認め, 腐骨除去を行っているが, 約半数が予後不良症例であった. 十分な治療法の検討と長期にわたる経過観察が必要と考えられた.
ISSN:0029-0297