2-D-1-3 再発口腔癌に対するシスプラチン大量動注化学療法の経験
近年, 中和剤としてチオ硫酸ナトリウムを併用したシスプラチン大量投与動注療法が術前治療や放射線との併用療法として多数報告されている. 本療法は副作用が軽微であるにもかかわらず, シスプラチン耐性株に対しても抗腫瘍効果が期待でき, また抗腫瘍効果が高いと言われている. そこで今回われわれは再発口腔癌で外科的切除不能と判断された症例に対して本療法を行ったので報告した. 症例は2002年~2003年に初回治療後の再発を認め, その時点で外科的切除不能と判断された口腔扁平上皮癌3例で, 原発部位は舌2例, 頬粘膜1例であった. これらのうち2例では過去にシスプラチンの投与歴があった. 全例大腿動脈から...
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Veröffentlicht in: | 日本口腔科学会雑誌 2005, Vol.54 (1), p.125-126 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 近年, 中和剤としてチオ硫酸ナトリウムを併用したシスプラチン大量投与動注療法が術前治療や放射線との併用療法として多数報告されている. 本療法は副作用が軽微であるにもかかわらず, シスプラチン耐性株に対しても抗腫瘍効果が期待でき, また抗腫瘍効果が高いと言われている. そこで今回われわれは再発口腔癌で外科的切除不能と判断された症例に対して本療法を行ったので報告した. 症例は2002年~2003年に初回治療後の再発を認め, その時点で外科的切除不能と判断された口腔扁平上皮癌3例で, 原発部位は舌2例, 頬粘膜1例であった. これらのうち2例では過去にシスプラチンの投与歴があった. 全例大腿動脈からのSeldinger法を用い, シスプラチン100~130mg/bodyを選択的に動注した. 症例によりドセタキセル, 硫酸ペプロマイシン, 塩酸ピラルビシンを同時に動注した. その結果, 全例ともにある程度の抗腫瘍効果が得られ, 開口障害, 呼吸苦, 嚥下困難が改善し, 一時的なQOLの改善がみられた. 逆に副作用対策としてチオ硫酸ナトリウム, 炭酸水素ナトリウム, 副腎皮質ステロイド等の投与を行った結果, 重篤な副作用は全く認められず, グレード3以上のものは便秘の1例のみであった. 舌癌の1例では原病死直前に腫瘍からの出血に悩まされたが, 死に至るまで鎮痛剤を1度も使用しなかったにもかかわらず疼痛を訴えることがなかった. これは動注により腫瘍と共に支配神経を含んだ周囲組織も壊死に陥り, これにより無知覚状態が続いたと思われた. また本療法は治療効果によっては将来的な根治療法への移行の可能性があり, 患者の励みになりえた. |
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ISSN: | 0029-0297 |