1-E-3-2 歯原性角化嚢胞67例の臨床的検討

1992年から2002年までの11年間に, 当科を受診し嚢胞性疾患と診断され, 入院加療を受けた患者は718名で, そのうち歯原性角化嚢胞は67例で9.3%であった. 今回われわれは歯原性角化嚢胞83嚢胞について臨床病理学的検討を行ったので報告する. 患者は男性46名, 女性21名で, 2歳から74歳と幅広くみられ, 平均年齢は37.7歳であった. 年齢分布は20歳代が最も多く34.3%, 次いで10歳代, 30歳代および60歳代のそれぞれ13.4%, 50歳代10.4%の順で, 40歳代を除いて他の年代では常に男性が女性より多くみられた. 発生部位は上顎15症例, 下顎68症例で, 下顎が上...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2005, Vol.54 (1), p.114-115
Hauptverfasser: 三宅正彦, 寺門正昭, 瀧川富之, 岩本 潔, 園尾千恵, 野間 昇, 松本光彦, 田中 博, 小宮山一雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:1992年から2002年までの11年間に, 当科を受診し嚢胞性疾患と診断され, 入院加療を受けた患者は718名で, そのうち歯原性角化嚢胞は67例で9.3%であった. 今回われわれは歯原性角化嚢胞83嚢胞について臨床病理学的検討を行ったので報告する. 患者は男性46名, 女性21名で, 2歳から74歳と幅広くみられ, 平均年齢は37.7歳であった. 年齢分布は20歳代が最も多く34.3%, 次いで10歳代, 30歳代および60歳代のそれぞれ13.4%, 50歳代10.4%の順で, 40歳代を除いて他の年代では常に男性が女性より多くみられた. 発生部位は上顎15症例, 下顎68症例で, 下顎が上顎の約4.5倍と圧倒的に下顎に多く, 下顎臼歯から下顎枝にかけて生じたものが65例78.3%であった. 嚢胞の単発および多発については単発例58例86.6%, 多発例9例13.4%と単発例が多くみられ, 多発例のうち4例が基底細胞母斑症候群であった. X線所見では単房性が68例81.9%, 多房性が15例18.1%と単房性が圧倒的に多かった. 病理組織学的には, 嚢胞上皮に錯角化がみられたものは53例で, 1症例では嚢胞上皮に細胞異型が認められた. 処置としては, 下顎骨区域切除術を行った1症例を除き, いずれも摘出術が行われていた. 再発例は67症例中3例4.4%, 再発までの期間は平均3年2か月で, 下顎臼歯部から下顎枝にわたり多房性を示した2症例および下顎臼歯部で単房性を呈した1症例にみられ, 嚢胞上皮の形態は2例に錯角化がみられた. 本嚢胞は裏装上皮が他の嚢胞と比較して薄いことおよび娘嚢胞の存在などにより摘出後の再発率が高いことで知られているが, 下顎骨で特に多房性を示すような場合には摘出にあたり充分な骨削除が必要であり, また予後についても約5年間の経過観察などの充分配慮が必要であると思われた.
ISSN:0029-0297