6.下顎骨周囲炎の治療中に発症した頸部亜急性壊死性リンパ節炎の1例

亜急性壊死性リンパ節炎は頸部に好発し, 壊死巣を伴う特異的なリンパ節炎として1972年に菊池藤本らによって報告されたが, その原因は未だ確定的なものはない. 今回, 私たちは下顎骨周囲炎の治療中に発症し診断に苦慮した1例を経験したので報告する. 患者は38歳の男性で, 8部疼痛による開口障害を主訴に来院. 8根尖性歯周炎による下顎骨周囲炎の診断にて膿瘍切開と抗生物質の投与を開始. 初診時に頸部リンパ節の腫脹はなかった. 8の症状は次第に軽快したが, 微熱が持続し, その後39℃台の発熱と右側頸部リンパ節の圧痛を伴う腫脹が出現. USやCTにて複数個のリンパ節の中心壊死像を認めたため, 内科,...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2004, Vol.53 (2), p.100-100
Hauptverfasser: 相田恵, 藤田一, 高木律男, 小野和弘, 福田純一, 長島克弘, 大島賢, 平周三
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:亜急性壊死性リンパ節炎は頸部に好発し, 壊死巣を伴う特異的なリンパ節炎として1972年に菊池藤本らによって報告されたが, その原因は未だ確定的なものはない. 今回, 私たちは下顎骨周囲炎の治療中に発症し診断に苦慮した1例を経験したので報告する. 患者は38歳の男性で, 8部疼痛による開口障害を主訴に来院. 8根尖性歯周炎による下顎骨周囲炎の診断にて膿瘍切開と抗生物質の投与を開始. 初診時に頸部リンパ節の腫脹はなかった. 8の症状は次第に軽快したが, 微熱が持続し, その後39℃台の発熱と右側頸部リンパ節の圧痛を伴う腫脹が出現. USやCTにて複数個のリンパ節の中心壊死像を認めたため, 内科, 耳鼻咽喉科と対診, 特異性炎やウイルス性炎を除外するとともに, 細胞診にて亜急性壊死性リンパ節炎と診断した. ステロイドを投与したところ, 頸部リンパ節の腫脹は消退し, 速やかに解熱. 数日後8抜歯. 現在10か月経過したが再発はない. 質問 奥羽大歯口外 金秀樹 診断になかなか苦慮したとのことですが, 早期診断でなにか工夫はあるでしょうか. 回答 新潟大医歯顎顔面口外 相田恵 口腔内の炎症がすでに消退した後も, 画像所見によるリンパ節中心壊死像や, 抗生物質不応による高熱が続いたなどの所見が, 早期診断のために重要であったと思います.
ISSN:0029-0297