2-D-03-1.三叉神経中脳路核ニューロンのシナプス電位の解析
三叉神経中脳路核(MeV)は咬筋筋紡錘や歯根膜受容器からの固有感情報を伝える第一次求心性ニューロンの細胞体局在部位である. 最近, MeVニューロン細胞体にシナプス構造が見つかり, MeVニューロンはGABAやグルタミン酸の投与で脱分極することが報告された. 今回, 小脳結合腕(BC)近傍を焦点刺激して誘起されるシナプス電位を解析した. 雄性Wistarラット(7~9週齢)脳幹のスライス標本(厚さ500μm)を作製し, 細胞内微小電極法を用いてMeVニューロンから膜電位を記録した. 記録中にbiocytinを細胞内に注入し記録ニューロンを染色した. MeVニューロンは, 活動電位持続時間(1/...
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Veröffentlicht in: | 日本口腔科学会雑誌 2003, Vol.52 (6), p.440-441 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 三叉神経中脳路核(MeV)は咬筋筋紡錘や歯根膜受容器からの固有感情報を伝える第一次求心性ニューロンの細胞体局在部位である. 最近, MeVニューロン細胞体にシナプス構造が見つかり, MeVニューロンはGABAやグルタミン酸の投与で脱分極することが報告された. 今回, 小脳結合腕(BC)近傍を焦点刺激して誘起されるシナプス電位を解析した. 雄性Wistarラット(7~9週齢)脳幹のスライス標本(厚さ500μm)を作製し, 細胞内微小電極法を用いてMeVニューロンから膜電位を記録した. 記録中にbiocytinを細胞内に注入し記録ニューロンを染色した. MeVニューロンは, 活動電位持続時間(1/2振幅で平均0.26ms), 過分極通電時に発生するサグ電位およびニューロン形態によって同定した. 静止膜電位と膜抵抗の平均値は-58mV, 11MΩ(n=78)であった. 焦点刺激(15-100V, 10μs)に対して95%のニューロンが応答し, 42%は0.5mMCa2+/10mMMg2+液灌流で消失する脱分極性シナプス電位(PSP), 38%はMeVニューロン軸索由来の逆行性スパイクを発生した. 残り15%は両者混合した反応であった. GABAA受容体遮断薬(bicuculline40μM)はほぼ完全に消失した(平均抑制率96%). しかし, グルタミン酸受容体遮断薬(AMPA型遮断薬CNQx20μM, NMDA型遮断薬AP5100μM), はPSPに殆ど影響を与えなかった(平均抑制率6%). GABA(10mM, 10秒)灌流投与で誘起したGABA-応答とPSPの平均逆転電位は各々-23mMと-25mVであった. 以上の結果はPSPの伝達物質がGABAであることを支持する. MeVニューロンは第一次求心性ニューロンであるが, 細胞体はGABA作働性シナプス電位を発生し, 情報統合部位としても機能していることを示唆する. |
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ISSN: | 0029-0297 |