1-F-03-1.パノラマエックス線写真による下顎智歯の位置-20年前と現在との比較

埋伏智歯の抜歯は以前から, 歯科口腔外科の日常臨床において最も頻度の高い小手術であり, 病診連携の進んだ現在においては一般歯科開業医から紹介来院などにより, さらに増加している. しかし, 最近の傾向として, 智歯がほぼ完全に萌出した状態であるにもかかわらず, 抜歯前の検査としてエックス線写真を撮影すると, 歯根尖が下顎管に近接あるいは重複している症例や, 下顎管を圧偏するような深い位置に埋伏している智歯に遭遇することが多く, 以前よりも抜歯に伴う下歯槽神経損傷の危険性が強く示唆される症例が増加したように思われる. そこで, このような所見を示す症例が実際に増加しているのかどうかを確認するため...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2003, Vol.52 (6), p.424-424
Hauptverfasser: 山口美奈子, 住友伸一郎, 松岡克至, 齋藤雅則, 大村仁利, 池田昌弘, 村松泰徳, 藤下昌巳, 高井良招
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:埋伏智歯の抜歯は以前から, 歯科口腔外科の日常臨床において最も頻度の高い小手術であり, 病診連携の進んだ現在においては一般歯科開業医から紹介来院などにより, さらに増加している. しかし, 最近の傾向として, 智歯がほぼ完全に萌出した状態であるにもかかわらず, 抜歯前の検査としてエックス線写真を撮影すると, 歯根尖が下顎管に近接あるいは重複している症例や, 下顎管を圧偏するような深い位置に埋伏している智歯に遭遇することが多く, 以前よりも抜歯に伴う下歯槽神経損傷の危険性が強く示唆される症例が増加したように思われる. そこで, このような所見を示す症例が実際に増加しているのかどうかを確認するために約20年前と現在の18~26歳の本学学生の下顎智歯を比較するとともに, 当科受診患者の智歯萌出状態における特徴について検討を行った. 対象症例は18~26歳までの1976~1981年(1364歯)と1996~2001(464歯)年の本学歯学部学生および1999~2002年の下顎智歯抜歯患者の智歯萌出状態(1958歯)を当時撮影したパノラマエックス線写真において観察し, G. B. Winterの分類に従って分類した. G. B. Winterの分類とは, 第2大臼歯と下顎枝前縁とのスペースの有無, 埋伏位置の深さ, そして, 埋伏の方向についての分類である. また, 下顎智歯と下顎管との重複度についても日本口腔外科学会雑誌46巻5号に掲載された5型の分類を用いて比較検討を行った. その結果, 近年における下顎智歯は, Winterのclass別およびposition別分類および根尖と下顎管との関係を5型に分類した結果から, 20年前と比較して, 下顎智歯は低位に埋伏し, 下顎管と重複または近接している症例が増加していることが判明した. しかし, これらの原因および誘因は不明な点が多く, 今後さらに症例を増やし検討する予定である. 質問 東京女子医大歯口外 扇内秀樹 20年前と比較してパノラマX線の規格が変化しているのではないか. 回答 朝日大口外 山口美奈子 規格は変化していることは考えられる. また, 撮影の際にも, 角度的変化や姿勢等によっても変化することも考えられる.
ISSN:0029-0297