2-C-04-1.舌縁部に生じたリンパ上皮性嚢胞の1例

患者は41歳男性で, 平成14年6月中旬, 左側舌縁部の腫瘤に気付き近歯科医院を受診し, 精査を目的に6月25日, 当科を紹介され受診した. 口腔内所見は, 左側舌縁部, 葉状乳頭のやや前方に8×7mmの半球状で境界明瞭, 表面は正常粘膜で覆われ, 周囲粘膜に軽度の発赤を伴った弾性軟の腫瘤を認め, 自発痛および圧痛は認めなかった. 平成14年7月15日, 局所麻酔下に左側舌縁部腫瘤の摘出術を施行した. 病理組織学的診断はリンパ上皮性嚢胞であった. 口腔内に発生したリンパ上皮性嚢胞は非常に稀で, 本邦では, 湯浅らによると, 口腔内の発生頻度は9%である. 最近10年間の口腔内に発生した本疾患の...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2003, Vol.52 (6), p.406-406
Hauptverfasser: 岡田成生, 神部芳則, 星健太郎, 鈴木英正, 篠崎泰久, 草間幹夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:患者は41歳男性で, 平成14年6月中旬, 左側舌縁部の腫瘤に気付き近歯科医院を受診し, 精査を目的に6月25日, 当科を紹介され受診した. 口腔内所見は, 左側舌縁部, 葉状乳頭のやや前方に8×7mmの半球状で境界明瞭, 表面は正常粘膜で覆われ, 周囲粘膜に軽度の発赤を伴った弾性軟の腫瘤を認め, 自発痛および圧痛は認めなかった. 平成14年7月15日, 局所麻酔下に左側舌縁部腫瘤の摘出術を施行した. 病理組織学的診断はリンパ上皮性嚢胞であった. 口腔内に発生したリンパ上皮性嚢胞は非常に稀で, 本邦では, 湯浅らによると, 口腔内の発生頻度は9%である. 最近10年間の口腔内に発生した本疾患の報告例は31例であった. 発生部位別では, 舌下面が最も多く21例であり, 次いで日底部が6例, 舌縁部が2例, 口峡部, 舌内部がそれぞれ1例, であった. 本症例は舌縁部に発生しており, 発生部位では非常に稀であるといえる. 今回われわれは, 舌縁部に生じたリンパ上皮性嚢胞の1例を経験したので, 若干の考察を加えて報告した. 質問 日本歯大新潟歯口外1 山口晃 口腔内に発生するリンパ上皮性嚢胞について, 発生由来をどのように考えておられますか. 回答 自治医大歯口外 岡田成生 発生部位について調べましても, 舌下面, 口底部に発生した症例がほとんどですので, Knappnらの陰窩閉塞説が有力だと考えております.
ISSN:0029-0297