1-E-01-2.歯根端切除術の治療成績に関する臨床学的検討-第一報:過去に施行した症例の分析
歯根端切除術は, 感染根管治療では良好な結果が得られない歯根病巣に対して, 有用な外科的歯内療法である. しかし, 通常挙げられているような適応症に従って処置をしても, 長期に観察してみると必ずしも良好な結果が得られていない. そこで, 今回私たちは, 今後長期の経過観察により症例分析を行い, 再発の要因を考慮した上で, 適応症についての再検討を計画している. 今回はその手始めとして, 過去に行った症例のうち, 長期観察し得たものについてレトロスペクティブな検討を行った. 対象は1991年から2000年までの10年間に当科で行った歯根端切除術症例のうち, 術後6か月以上経過観察を行った約100...
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Veröffentlicht in: | 日本口腔科学会雑誌 2003, Vol.52 (6), p.403-404 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 歯根端切除術は, 感染根管治療では良好な結果が得られない歯根病巣に対して, 有用な外科的歯内療法である. しかし, 通常挙げられているような適応症に従って処置をしても, 長期に観察してみると必ずしも良好な結果が得られていない. そこで, 今回私たちは, 今後長期の経過観察により症例分析を行い, 再発の要因を考慮した上で, 適応症についての再検討を計画している. 今回はその手始めとして, 過去に行った症例のうち, 長期観察し得たものについてレトロスペクティブな検討を行った. 対象は1991年から2000年までの10年間に当科で行った歯根端切除術症例のうち, 術後6か月以上経過観察を行った約100例である. 調査項目は, 性別, 年齢, 部位, 臨床症状の経過, 根管充填法, 病理検査結果, 病巣の大きさで, 術後の経過観察は臨床症状およびデンタルX線写真で行った. 全体の性別および年齢分布では男性よりも, 女性の方が約1.9倍で, 平均年齢38歳であった. 部位別分布では上顎前歯が多く90%以上を占めていた. また, 6か月間経過観察を行った症例について, 治療成績を比較検討した. 部位別では上顎に比べ下顎の方が成績は良く, またX線学的には, 病巣に含まれる歯根の割合が少ない方が治療成績は良かったが, 病巣の大きさによる治療成績の違いは明らかではなかった. 部位別では, 上顎に比べ下顎の方が良い治療成績を示した. 根管充填法による検討では, 正根充が最も良い成績を示した. 病理検査結果では, 歯根肉芽腫が歯根嚢胞よりも多くみられたが, 治療成績においては両者とも明らかな違いはなかった. また, 術前の骨欠損長径と術後3か月, 6か月の骨欠損長径をデンタルX線写真で比較すると, 3か月の時点で, 長径の縮小傾向がみられるものは, ほぼ治癒あるいは良好の経過をたどり, 3か月の時点で長径の縮小傾向がみられず, 拡大あるいは変化のないものは, 不良の経過をたどっていることがわかった. 今後も症例数を重ねてさらに検討を続けていく所存である. 質問 九州歯大 福山宏 予後成績の中でFibrous scarの症例はなかったのでしょうか. もしあればその成績判定は良好, あるいは不良とされましたか. 判定の根拠を問う. 回答 東京歯大水道橋病院口外 廣瀬史子 嚢胞の大きさが比較的大きい場合にできるが, 歯槽硬線の再生をもって治癒と判定した. 質問 君津中央病院歯口外 金沢春幸 逆根充, 既根充における歯根端切除手術の予後不良例に対する再手術の方法について教えて下さい. 回答 東京歯大水道橋病院口外 廣瀬史子 再発例に対して再手術をしても, 術後経過は不良な場合が多い. とくに再手術に対する改善策は確立されていないが, 現存のところは, 嚢胞の裏装上皮を除去を目的としている. |
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ISSN: | 0029-0297 |