1-D-03-5.顎関節MRI画像におけるJoint Effusionと鏡視滑膜所見,臨床像との比較について

Joint effusion(以下JE)は「滑膜や関節構成組織に由来する, 組織液や何らかの融解産物が滑液に溶出したもの」といわれており, 炎症との関連が注目されているが, 顎関節内障にみられる関節雑音, 疼痛, 運動障害といった臨床症状との関連については未だ一定の見解が得られていない. 今回われわれは, 顎関節鏡視下剥離受動術を施行した患者の鏡視滑膜所見と術前JE像, 術前後のJE像の変化と顎関節痛, 自力最大開口量について比較検討を行った. 対象は平成6年4月~平成12年9月に名古屋大学医学部附属病院歯科口腔外科を受診し, 顎関節内障(closed lock)と診断され, 約3か月間の保存...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2003, Vol.52 (6), p.395-395
Hauptverfasser: 八十川竜洋, 服部宇, 篠田雅路, 鎌田仁, 杉江泰仁, 浜村和紀, 水谷英樹, 上田実
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:Joint effusion(以下JE)は「滑膜や関節構成組織に由来する, 組織液や何らかの融解産物が滑液に溶出したもの」といわれており, 炎症との関連が注目されているが, 顎関節内障にみられる関節雑音, 疼痛, 運動障害といった臨床症状との関連については未だ一定の見解が得られていない. 今回われわれは, 顎関節鏡視下剥離受動術を施行した患者の鏡視滑膜所見と術前JE像, 術前後のJE像の変化と顎関節痛, 自力最大開口量について比較検討を行った. 対象は平成6年4月~平成12年9月に名古屋大学医学部附属病院歯科口腔外科を受診し, 顎関節内障(closed lock)と診断され, 約3か月間の保存療法が奏功せず, 顎関節鏡視下剥離受動術を施行した15名30関節, 男性4名女性11名, 平均年齢34.5歳であった. 方法は初診時および術後1年以内に撮影されたMRI T2強調画像よりJEを分類, また手術時鏡視滑膜所見の分類を行った. JE像は溝口らの分類, 鏡視滑膜所見はHolmlundらの分類を応用し用いた. また初診時および術後MRI撮影時に自力最大開口量, 顎関節痛の評価を行った. 自力最大開口量の評価にはノギスを用い, 上下顎中切歯切端間距離を計測し, 顎関節痛の評価には質問表を用いてVisual Analog Scale of pain(以下VAS)により数値化した. その結果, 手術時に滑膜炎を認めた症例において術前JE像を認めた頻度が高く, 鏡視滑膜所見と術前JE像との関連が示唆された. また, 術前後のJE像の変化に関わらず, 術後には自力最大開口量の増加, 顎関節痛の改善を認め, 術前後JE像の変化との間に明らかな関連を認めなかった.
ISSN:0029-0297